2024年12月21日15時45分
温室効果ガスが現在のペースで増加すると、南極の海氷が2100年までに4分の1失われるとの試算を海洋研究開発機構などのチームが21日までにまとめた。温室ガスの排出を抑えると回復傾向に変わることも試算で示された。
気象庁によると、南極の海氷面積は年間平均で約1200万平方キロ。長年増加傾向だったが、16年以降記録的な減少が続き、温暖化の影響が指摘されている。機構の森岡優志主任研究員は「温室ガスの削減を先延ばしにしないことがより早い海氷の回復につながる」としている。
チームは大気の動きや海洋の流れを一体化して予測するモデルを使い、二酸化炭素(CO2)やメタンの濃度変化と海氷面積の増減をシミュレーションした。
2100年にCO2濃度が現在の約1・5倍になるとの現状に近いシナリオでは海氷面積が一貫して減少。30年や40年に削減策を講じた場合は、それぞれ10~20年後に減少が止まって増加に転じるとの結果となった。
【写真】 南極で解け出した氷=2010年1月(ロイター=共同)