【ブリュッセル共同】欧州連合（ＥＵ）首脳会議は１９日、アサド政権崩壊を受け欧州に逃れているシリア難民の「安全で自主的、尊厳ある帰還のための環境整備を全当事者に求める」との合意文書を採択した。オーストリアなど一部の加盟国で、シリア難民による申請の審査停止や早期の帰還に向けた動きが出ていることが背景にある。

　一度に多数の難民が渡航を試みた欧州では２０１５年に難民危機に発展。難民増加への不満を追い風に各国で極右を含む右派が台頭している。

　首脳会議は、暫定政府を主導する過激派「シリア解放機構（ＨＴＳ）」に対して、ＥＵが重視する女性の権利や宗教的・民族的少数派の人権を尊重した国家再建を求めた。