中国抗議デモ
2022年12月1日
◆人権配慮したコロナ対策を◆
中国で新型コロナウイルス対策として市民の動きを厳しく制限する「ゼロコロナ」政策への抗議行動が全国に拡大した。首都北京で千人規模のデモ行進のほか各地で抗議が行われ、当局はデモの封じ込めに懸命だ。
習近平国家主席(共産党総書記)は10月の党大会を経て独裁体制を固め異例の3期目に入り、新指導部として「ゼロコロナ」継続を決めたばかり。2012年の習指導部発足以降、本格的な政府批判活動は初めてで、習氏の権威は揺らぐ。
指導部は「ゼロコロナ」を続ける方針だが、国民の我慢は限界に達し、経済は著しく冷え込んでいる。世界ではコロナ対策と市民生活や経済活動の両立を図る「ウィズコロナ」が主流だ。中国も国民の自由と人権に配慮し、行動制限の早期緩和へ動き出すべきだ。
中国はスマートフォンなどを通じて国民の行動を厳しく監視し、感染が増えるとロックダウン(都市封鎖)を実施。20年1月に湖北省武漢市から全国に広がったコロナ感染について、同年4月末に封じ込めたと制圧を宣言し、その後も「ゼロコロナ」を掲げ続けた。
党の中枢、政治局常務委員会は11月10日、冬から来年春にかけて「感染の範囲や規模が拡大する恐れがある」として「ゼロコロナ」の貫徹を確認した。「コロナ対策と経済・社会発展の両立」も併記したが「必要な防疫措置を緩めることはできない」とくぎを刺した。
中国本土で確認された新規感染者数は1日当たり約4万人で、20年春以降で最多の水準となっている。広東省広州市では封鎖措置に反対する人々が抗議行動を起こし、一部が暴徒化。新疆ウイグル自治区ウルムチ市では高層住宅火災で10人が死亡し、住民たちは封鎖で消火が遅れたと抗議した。
北京市中心部では火災の犠牲者を悼む献花台を設けた広場に市民が集まり、「自由がほしい」などと叫んだ。若者たちは当局への抗議を意味する白紙を掲げ「個人独裁は要らない」「(選挙の)投票用紙を」と習氏批判、民主化要求の声も上げた。国際社会からは市民の抗議を支持し、規制緩和を求める声が次々と上がる。
「ゼロコロナ」の影響で、中国の22年7~9月期の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比3・9%増にとどまった。通年目標の「5・5%前後」の達成は難しく、「3%前後」になるとの予測も出る。
中国が「ゼロコロナ」に固執するのは、政策を打ち出した習氏の権威を保つためのようにも映る。メンツにこだわらず、国民本位の柔軟な対応を模索するべきだ。
中国で新型コロナウイルス対策として市民の動きを厳しく制限する「ゼロコロナ」政策への抗議行動が全国に拡大した。首都北京で千人規模のデモ行進のほか各地で抗議が行われ、当局はデモの封じ込めに懸命だ。
習近平国家主席(共産党総書記)は10月の党大会を経て独裁体制を固め異例の3期目に入り、新指導部として「ゼロコロナ」継続を決めたばかり。2012年の習指導部発足以降、本格的な政府批判活動は初めてで、習氏の権威は揺らぐ。
指導部は「ゼロコロナ」を続ける方針だが、国民の我慢は限界に達し、経済は著しく冷え込んでいる。世界ではコロナ対策と市民生活や経済活動の両立を図る「ウィズコロナ」が主流だ。中国も国民の自由と人権に配慮し、行動制限の早期緩和へ動き出すべきだ。
中国はスマートフォンなどを通じて国民の行動を厳しく監視し、感染が増えるとロックダウン(都市封鎖)を実施。20年1月に湖北省武漢市から全国に広がったコロナ感染について、同年4月末に封じ込めたと制圧を宣言し、その後も「ゼロコロナ」を掲げ続けた。
党の中枢、政治局常務委員会は11月10日、冬から来年春にかけて「感染の範囲や規模が拡大する恐れがある」として「ゼロコロナ」の貫徹を確認した。「コロナ対策と経済・社会発展の両立」も併記したが「必要な防疫措置を緩めることはできない」とくぎを刺した。
中国本土で確認された新規感染者数は1日当たり約4万人で、20年春以降で最多の水準となっている。広東省広州市では封鎖措置に反対する人々が抗議行動を起こし、一部が暴徒化。新疆ウイグル自治区ウルムチ市では高層住宅火災で10人が死亡し、住民たちは封鎖で消火が遅れたと抗議した。
北京市中心部では火災の犠牲者を悼む献花台を設けた広場に市民が集まり、「自由がほしい」などと叫んだ。若者たちは当局への抗議を意味する白紙を掲げ「個人独裁は要らない」「(選挙の)投票用紙を」と習氏批判、民主化要求の声も上げた。国際社会からは市民の抗議を支持し、規制緩和を求める声が次々と上がる。
「ゼロコロナ」の影響で、中国の22年7~9月期の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比3・9%増にとどまった。通年目標の「5・5%前後」の達成は難しく、「3%前後」になるとの予測も出る。
中国が「ゼロコロナ」に固執するのは、政策を打ち出した習氏の権威を保つためのようにも映る。メンツにこだわらず、国民本位の柔軟な対応を模索するべきだ。