旧文通費改革
2022年12月10日
◆「是正」後回しの理由はない◆
岸田文雄首相や自民、公明両党にとって、「政治とカネ」を巡る問題の不信払拭は、優先課題ではないのか。
衆参両院議員に対し、歳費(給与)とは別に毎月100万円支給している非課税の「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の是正が、再び置き去りにされる見通しとなった。使途の公開や未使用分の返還を義務付ける野党3党が提出した法改正案に、与党側が難色を示しているからだ。
政治とカネの問題で閣僚更迭などの事態を招きながら、改革の一歩すら踏み出せない姿勢は、国会のサボタージュと非難されても仕方あるまい。
旧文通費に関しては、4月の通常国会で名称変更や日割り支給にする改正法が成立。使途の公開などは、その国会中に結論を得る方針で合意したにもかかわらず、先送りされた。しかも、名称が変わったことで、使途が事実上拡大。国会議員の「第2の財布」色が一段と濃くなり、改正と呼ぶのもおこがましい、お手盛りとなった。
忘れてはならないのは、旧文通費の原資は私たちが納める税金であることだ。一般の社会人は領収書を添付して経費を精算する。地方議会も「政務活動費」の支出について領収書を含めインターネットなどで公開、未使用分を返納しているところが少なくない。こうした作業を国会議員だけが免除される理由は見当たらない。
新型コロナウイルス禍による経済の低迷、値上げラッシュはじわりと市民の暮らしを脅かす。お金の使い方に四苦八苦しているのが現状だ。国民の窮状に思いが至らないとすれば、国会議員失格だろう。私たちはこうした国会の無神経さに怒りの視線を送らなければいけない。
岸田首相は、補正予算、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題、コロナ対策、防衛力強化、2023年度税制改正・予算編成などを重要課題に挙げる。しかし、年末にこうした対応が集中することは想定されていたのだから、旧文通費の是正を後回しにしてもいい”言い訳”にはならないはずだ。
この国会では、寺田稔前総務相が故人を政治団体の会計責任者に据えていたことや選挙での買収疑惑などで職を追われた。秋葉賢也復興相も政治団体の事務所賃料を親族に支出していた問題や秘書に選挙運動の報酬を支払った疑惑が、松本剛明総務相には会場収容人数を超えるパーティー券を販売した疑いが表面化。岸田首相についても宛名やただし書きのない大量の領収書が発覚している。首相が「絶えず襟を正す」と強調するなら、自民党に対し指導力を発揮するときだ。
岸田文雄首相や自民、公明両党にとって、「政治とカネ」を巡る問題の不信払拭は、優先課題ではないのか。
衆参両院議員に対し、歳費(給与)とは別に毎月100万円支給している非課税の「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の是正が、再び置き去りにされる見通しとなった。使途の公開や未使用分の返還を義務付ける野党3党が提出した法改正案に、与党側が難色を示しているからだ。
政治とカネの問題で閣僚更迭などの事態を招きながら、改革の一歩すら踏み出せない姿勢は、国会のサボタージュと非難されても仕方あるまい。
旧文通費に関しては、4月の通常国会で名称変更や日割り支給にする改正法が成立。使途の公開などは、その国会中に結論を得る方針で合意したにもかかわらず、先送りされた。しかも、名称が変わったことで、使途が事実上拡大。国会議員の「第2の財布」色が一段と濃くなり、改正と呼ぶのもおこがましい、お手盛りとなった。
忘れてはならないのは、旧文通費の原資は私たちが納める税金であることだ。一般の社会人は領収書を添付して経費を精算する。地方議会も「政務活動費」の支出について領収書を含めインターネットなどで公開、未使用分を返納しているところが少なくない。こうした作業を国会議員だけが免除される理由は見当たらない。
新型コロナウイルス禍による経済の低迷、値上げラッシュはじわりと市民の暮らしを脅かす。お金の使い方に四苦八苦しているのが現状だ。国民の窮状に思いが至らないとすれば、国会議員失格だろう。私たちはこうした国会の無神経さに怒りの視線を送らなければいけない。
岸田首相は、補正予算、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題、コロナ対策、防衛力強化、2023年度税制改正・予算編成などを重要課題に挙げる。しかし、年末にこうした対応が集中することは想定されていたのだから、旧文通費の是正を後回しにしてもいい”言い訳”にはならないはずだ。
この国会では、寺田稔前総務相が故人を政治団体の会計責任者に据えていたことや選挙での買収疑惑などで職を追われた。秋葉賢也復興相も政治団体の事務所賃料を親族に支出していた問題や秘書に選挙運動の報酬を支払った疑惑が、松本剛明総務相には会場収容人数を超えるパーティー券を販売した疑いが表面化。岸田首相についても宛名やただし書きのない大量の領収書が発覚している。首相が「絶えず襟を正す」と強調するなら、自民党に対し指導力を発揮するときだ。