いじめ対策サミット
2022年12月16日
◆「事なかれ主義」排し対応を◆
大阪府寝屋川市で「いじめ対策サミット」が開かれた。いじめを受けた中2女子が凍死した問題で近く再調査に乗り出す北海道旭川市や、子どものいじめ防止を目的とする条例を10年前に制定した岐阜県可児市などの市長らが被害者家族や専門家と意見交換。いじめ根絶に向け、自治体が積極的な役割を果たす必要があることを確認した。
サミットを企画した寝屋川市は2019年10月に、いじめ対策専門の「監察課」を市長部局に設置。加害者と被害者、保護者、教員らから聞き取り調査をして、クラス替えを勧告するなど早期解決を図る取り組みを進めている。
いじめ防止対策推進法は、いじめの疑いがある自殺や長期欠席など「重大事態」に際し、学校や教育委員会が第三者委員会を設置し、事実関係を調査すると規定。しかし、いじめを認めず、なかなか調査に動こうとしない学校・教委は少なくない。
ようやく調査が行われても、進め方や結果に被害者や家族が納得できず、再調査を求める例が各地で相次いでいる。いじめ対応で透明性の高いプロセスを経て速やかに調査の要否を判断するなど、子どもを守れる体制を整えることが急務だ。
文科省の問題行動・不登校調査によると、全国の国公私立小中学校で21年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒は24万4940人で過去最多となった。いじめは最多の61万5351件、自殺は368人だった。
そうした中、学校・教委の調査が十分機能していない例が目立つ。旭川市の中2女子凍死問題で、母親は昨年8月に弁護士を通じ手記を公開。何度も学校や市教委に相談したが、学校は調査に及び腰で、市教委も誰からも相談はなかったと説明。「いじめをもみ消そうとしているようにさえ見える」とした。
今年9月に市教委が公表した第三者委の報告書は凍死は自殺で、いじめを受け自殺未遂をした19年6月時点で重大事態として対応すべきだったと指摘。だが、いじめとの因果関係については不明とし、判断を避けた。母親は「不十分」と訴え、市は年内に再調査に乗り出す。
こども家庭庁の来年4月発足を前に、内閣官房こども家庭庁設立準備室や厚生労働省、文科省といった関係省庁が先に開いた連絡会議でも、学校と警察の協力などとともに、調査の迅速処理が検討課題になっている。
学校・教委と被害者側との対立は深刻と言わざるを得ない。長期化の背景に見え隠れしている学校・教委の「事なかれ主義」を排し、何があったのか知りたいという被害者側の苦悩や不安に真正面から向き合えるか―が問われている。
大阪府寝屋川市で「いじめ対策サミット」が開かれた。いじめを受けた中2女子が凍死した問題で近く再調査に乗り出す北海道旭川市や、子どものいじめ防止を目的とする条例を10年前に制定した岐阜県可児市などの市長らが被害者家族や専門家と意見交換。いじめ根絶に向け、自治体が積極的な役割を果たす必要があることを確認した。
サミットを企画した寝屋川市は2019年10月に、いじめ対策専門の「監察課」を市長部局に設置。加害者と被害者、保護者、教員らから聞き取り調査をして、クラス替えを勧告するなど早期解決を図る取り組みを進めている。
いじめ防止対策推進法は、いじめの疑いがある自殺や長期欠席など「重大事態」に際し、学校や教育委員会が第三者委員会を設置し、事実関係を調査すると規定。しかし、いじめを認めず、なかなか調査に動こうとしない学校・教委は少なくない。
ようやく調査が行われても、進め方や結果に被害者や家族が納得できず、再調査を求める例が各地で相次いでいる。いじめ対応で透明性の高いプロセスを経て速やかに調査の要否を判断するなど、子どもを守れる体制を整えることが急務だ。
文科省の問題行動・不登校調査によると、全国の国公私立小中学校で21年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒は24万4940人で過去最多となった。いじめは最多の61万5351件、自殺は368人だった。
そうした中、学校・教委の調査が十分機能していない例が目立つ。旭川市の中2女子凍死問題で、母親は昨年8月に弁護士を通じ手記を公開。何度も学校や市教委に相談したが、学校は調査に及び腰で、市教委も誰からも相談はなかったと説明。「いじめをもみ消そうとしているようにさえ見える」とした。
今年9月に市教委が公表した第三者委の報告書は凍死は自殺で、いじめを受け自殺未遂をした19年6月時点で重大事態として対応すべきだったと指摘。だが、いじめとの因果関係については不明とし、判断を避けた。母親は「不十分」と訴え、市は年内に再調査に乗り出す。
こども家庭庁の来年4月発足を前に、内閣官房こども家庭庁設立準備室や厚生労働省、文科省といった関係省庁が先に開いた連絡会議でも、学校と警察の協力などとともに、調査の迅速処理が検討課題になっている。
学校・教委と被害者側との対立は深刻と言わざるを得ない。長期化の背景に見え隠れしている学校・教委の「事なかれ主義」を排し、何があったのか知りたいという被害者側の苦悩や不安に真正面から向き合えるか―が問われている。