河野氏4選
2022年12月26日
◆地域の将来担う責務を胸に◆
任期満了に伴う知事選が25日投開票され、4期目を狙った現職の河野俊嗣氏(58)が当選した。全国区の知名度を持ち県政刷新を訴えた元職の東国原英夫氏(65)が終盤に猛烈な追い上げを見せたが、2万3千票余り上回った河野氏がかろうじて逃げ切った。
事実上、現職と元職の一騎打ちの構図となり、有権者は手堅い県政の継続か、全国区の発信力を生かした県政再生への転換かで判断を迫られた。注目の投票率は56・69%。過去最低だった前回2018年(33・90%)より22・79ポイント上昇。期日前投票も過去最多を記録した。
河野氏は主要政党や団体、企業など400弱の推薦を得て盤石の体制を築き、当初はどう見ても有利なはずだった。だが「組織末端まで浸透していない」との陣営幹部の懸念が的中し、投開票日が近づくにつれ厳しい選挙戦を強いられた。絶対得票率は前回30・63%から29・14%に下がった。
17、18日に宮崎日日新聞社が行った電話調査では「大いに関心がある」が71・6%、「ある程度関心がある」が26・3%と関心は高かった。にもかかわらず、河野氏が票を伸ばしきれなかったのは組織の弱体化だけが要因ではないだろう。
新型コロナウイルス対策、疲弊する地域経済への支援など現職の政治姿勢に対して、組織がつかみきれなかった不満や不安が表面化したとも言える。河野氏は選挙期間中に「安定は停滞ではない」と手堅さを強調したものの、変化や改革を望んだ層は予想以上に厚かった。
票に現れた民意がどういったものなのか、何が不足しているのか。河野氏は今後、敏感になって謙虚に耳を傾けていくことが課題だろう。4期目の多選で、組織の硬直化やしがらみ依存が生まれやすい長期政権の入り口に立ったからこそ、その自覚が一層求められる。
コロナ禍と物価高で県民のお財布事情は厳しさを増した。全国で最下位グループにある県民所得の向上には産業振興や雇用創出が鍵となるが、河野氏は堅実さに加え、これまでにないユニークなアイデアと行動力を発揮して対策を急いでほしい。
愛着ある地域に暮らし続けたいという県民の願いをかなえるためには経済的安定だけでは限界がある。特に少子高齢化の進む地域では防災、文化継承、交通など生活を支えるさまざまな機能維持が喫緊の課題だ。
河野氏には”悩みの先進地”に深く分け入り、地域住民と対話しながら解決に導いてほしい。地域維持の分岐点に立つ責務を意識し、同時に政治家としての正念場にあることを胸に、仕事にまい進してほしい。
任期満了に伴う知事選が25日投開票され、4期目を狙った現職の河野俊嗣氏(58)が当選した。全国区の知名度を持ち県政刷新を訴えた元職の東国原英夫氏(65)が終盤に猛烈な追い上げを見せたが、2万3千票余り上回った河野氏がかろうじて逃げ切った。
事実上、現職と元職の一騎打ちの構図となり、有権者は手堅い県政の継続か、全国区の発信力を生かした県政再生への転換かで判断を迫られた。注目の投票率は56・69%。過去最低だった前回2018年(33・90%)より22・79ポイント上昇。期日前投票も過去最多を記録した。
河野氏は主要政党や団体、企業など400弱の推薦を得て盤石の体制を築き、当初はどう見ても有利なはずだった。だが「組織末端まで浸透していない」との陣営幹部の懸念が的中し、投開票日が近づくにつれ厳しい選挙戦を強いられた。絶対得票率は前回30・63%から29・14%に下がった。
17、18日に宮崎日日新聞社が行った電話調査では「大いに関心がある」が71・6%、「ある程度関心がある」が26・3%と関心は高かった。にもかかわらず、河野氏が票を伸ばしきれなかったのは組織の弱体化だけが要因ではないだろう。
新型コロナウイルス対策、疲弊する地域経済への支援など現職の政治姿勢に対して、組織がつかみきれなかった不満や不安が表面化したとも言える。河野氏は選挙期間中に「安定は停滞ではない」と手堅さを強調したものの、変化や改革を望んだ層は予想以上に厚かった。
票に現れた民意がどういったものなのか、何が不足しているのか。河野氏は今後、敏感になって謙虚に耳を傾けていくことが課題だろう。4期目の多選で、組織の硬直化やしがらみ依存が生まれやすい長期政権の入り口に立ったからこそ、その自覚が一層求められる。
コロナ禍と物価高で県民のお財布事情は厳しさを増した。全国で最下位グループにある県民所得の向上には産業振興や雇用創出が鍵となるが、河野氏は堅実さに加え、これまでにないユニークなアイデアと行動力を発揮して対策を急いでほしい。
愛着ある地域に暮らし続けたいという県民の願いをかなえるためには経済的安定だけでは限界がある。特に少子高齢化の進む地域では防災、文化継承、交通など生活を支えるさまざまな機能維持が喫緊の課題だ。
河野氏には”悩みの先進地”に深く分け入り、地域住民と対話しながら解決に導いてほしい。地域維持の分岐点に立つ責務を意識し、同時に政治家としての正念場にあることを胸に、仕事にまい進してほしい。