県内経済展望
2023年1月4日
◆融資返済ピーク 我慢の年に◆
ウクライナ危機に端を発した燃料費高騰、物価高、円安ドル高…と悪夢のような状況が続いた2022年。「コロナ感染は収束し経済は上向いているはず」と信じた未来はいま、暗雲に覆われている。
今年はさらにコロナ関連融資の返済が山場を迎える。本格的なウィズコロナ時代を生き抜けるかどうか、この1年が分水嶺(れい)となるかもしれない。
20年春に始まった実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」は、コロナ下で売上高が減少した企業を下支えしてきた。返済が滞れば肩代わり(代位弁済)されることもあり、県内でも多額の資金が注入された。
県信用保証協会と日本政策金融公庫が実施した融資総額は3千億円超。先行き不透明な状況下で備えとして借りたケースも多く、保証協会が保証を承諾した融資のうち7割近くは昨年9月までに返済を始めているが、既に8億円超の焦げ付きも発生している。
無利子期間は3年で終了し、今年5月以降には利払い開始がピークを迎える見込みだが、不安材料が解決する見通しは立たない。
新たな資金援助が見込めない中「当面は再リスケ(返済猶予)で延命するしかない」と話すのは東京商工リサーチ宮崎支店の勢越淳一支店長。「経営者のマインドは上がらず、来年も同じ状況が続く可能性は高い。プラスのスパイラルへ転換するには時間がかかる」と指摘する。
潤沢な資金注入で歴史的低水準にとどまってきた倒産件数についても「昨年末、上昇基調に転じた。今後減ることはないのでは」と推測。ゼロゼロ融資を巡っては以前から経営不振だった企業を延命させてきたとの指摘もあり、県内にも淘汰(とうた)の波が押し寄せるのは間違いない。
税理士として県内約200社の財務状況を分析し経営アドバイスを行っている中村健一郎氏=宮崎市=は、苦境下の対応としてまずは「経営者が逃げないこと」を挙げる。金融機関、保証協会、従業員と可能な限り情報を共有することで「打開策への糸口が見つかるはず」と説く。金融機関側の継続的な支援が重要性を増すことは言うまでもない。
宮崎日日新聞が年末に実施した県内50社アンケートでは、6割近くがコロナ禍の影響が継続するとしながらも、46%が賃上げを予定。6割超が新卒採用を計画するなど、前向きな姿勢が見てとれる。
「文明史5千年、戦後日本の歴史から見れば、3歩前進1歩後退。打開できない困難はない」と中村氏。大局的楽観の境地で我慢の年を生き抜きたい。
ウクライナ危機に端を発した燃料費高騰、物価高、円安ドル高…と悪夢のような状況が続いた2022年。「コロナ感染は収束し経済は上向いているはず」と信じた未来はいま、暗雲に覆われている。
今年はさらにコロナ関連融資の返済が山場を迎える。本格的なウィズコロナ時代を生き抜けるかどうか、この1年が分水嶺(れい)となるかもしれない。
20年春に始まった実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」は、コロナ下で売上高が減少した企業を下支えしてきた。返済が滞れば肩代わり(代位弁済)されることもあり、県内でも多額の資金が注入された。
県信用保証協会と日本政策金融公庫が実施した融資総額は3千億円超。先行き不透明な状況下で備えとして借りたケースも多く、保証協会が保証を承諾した融資のうち7割近くは昨年9月までに返済を始めているが、既に8億円超の焦げ付きも発生している。
無利子期間は3年で終了し、今年5月以降には利払い開始がピークを迎える見込みだが、不安材料が解決する見通しは立たない。
新たな資金援助が見込めない中「当面は再リスケ(返済猶予)で延命するしかない」と話すのは東京商工リサーチ宮崎支店の勢越淳一支店長。「経営者のマインドは上がらず、来年も同じ状況が続く可能性は高い。プラスのスパイラルへ転換するには時間がかかる」と指摘する。
潤沢な資金注入で歴史的低水準にとどまってきた倒産件数についても「昨年末、上昇基調に転じた。今後減ることはないのでは」と推測。ゼロゼロ融資を巡っては以前から経営不振だった企業を延命させてきたとの指摘もあり、県内にも淘汰(とうた)の波が押し寄せるのは間違いない。
税理士として県内約200社の財務状況を分析し経営アドバイスを行っている中村健一郎氏=宮崎市=は、苦境下の対応としてまずは「経営者が逃げないこと」を挙げる。金融機関、保証協会、従業員と可能な限り情報を共有することで「打開策への糸口が見つかるはず」と説く。金融機関側の継続的な支援が重要性を増すことは言うまでもない。
宮崎日日新聞が年末に実施した県内50社アンケートでは、6割近くがコロナ禍の影響が継続するとしながらも、46%が賃上げを予定。6割超が新卒採用を計画するなど、前向きな姿勢が見てとれる。
「文明史5千年、戦後日本の歴史から見れば、3歩前進1歩後退。打開できない困難はない」と中村氏。大局的楽観の境地で我慢の年を生き抜きたい。