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マスク個人判断に

2023年3月14日
◆自由意思 互いに配慮したい◆

 政府の新型コロナウイルス対策を巡る新指針により、13日からマスク着用が個人判断に委ねられ、日常生活に浸透した「マスク着用ルール」が大幅に緩和された。5月8日には、新型コロナの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同等の5類に移行する。ウイルスと共存しつつ社会経済活動を元に戻す「ウィズコロナ」が本格化するが、それまでの約2カ月間は助走期間と位置付けたい。

 ただ国内の1日当たり新規感染者数はなおも1万人前後に上っており、緩みは禁物だ。拙速を避け、周到に準備し、段階を踏んで「有事から平時へ」の回帰を進めたい。

 3月13日からは、全員着席可能な新幹線や高速バスではマスクを外すのが容認されるが、混雑した電車やバス内では着用を推奨。医療機関や高齢者施設への訪問時なども着用を勧める。学校教育活動では4月1日以降、基本的にマスク着用を求めない。それに先立つ卒業式も、児童生徒らは外して出席するのが基本となる。

 学校でも社会でも、着けたい人、外したい人の自由意思が阻害されることがあってはならない。互いに気配りしたい。

 当面の課題は何か。再び感染拡大の波を招き、社会経済活動が大きく制約されてしまう事態は何としても防ぐ必要がある。重症化しやすい高齢者や基礎疾患を抱える人たちを中心に対策が不可欠で、具体的には、ワクチン接種をなおも推進することが重要となる。オミクロン株対応ワクチンを打ち終えた人はまだ5割に満たない。この現状を早く改善したい。

 5月8日からは、65歳以上の高齢者らに対し、2023年度のワクチン接種が実施される。5歳以上で基礎疾患があるなど重症化リスクが高い人、医療・介護従事者も対象となる。人々がマスクルール緩和で安心し、接種の動機が薄れないよう積極的な広報も必要だ。

 政府は、5類移行に伴い医療体制も見直す。現在無料となっている検査や陽性判明後の外来診療は患者に負担を求め、入院費も原則自己負担とする。医療提供体制への国費支出は主な施策だけで約17兆円に上っており、やむを得まい。

 一方で患者負担が過大になれば、検査や治療を我慢するようになり、特に高齢者らが重症化しないか心配だ。政府は自己負担額をインフルエンザと同水準に抑えるというが、混乱がないよう目配りしてほしい。

 ウィズコロナの社会には、重症化防止に有効な飲み薬やワクチンの継続的な開発も欠かせない。それらを国産でまかなえる技術、体制の確立も引き続き大きな課題だ。

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