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県議選告示

2023年4月1日
◆有権者の関心高める戦いを◆

 統一地方選が始まり、県内前半戦の県議選が告示された。定数39に対し55人が立候補、14選挙区中11選挙区で選挙戦が繰り広げられる。立候補者数、選挙戦となる選挙区数ともに現定数下では最多となり、政策論議がより活発化する環境が実現した。私たちの生活を支える地方政治の姿を考え、投票先を選びたい。4年に1度の貴重な”選択の春”だ。

 投開票日は4月9日。県議選の投票率は2003年まで60%台を維持していたが、07年に50%台となって以降、下落傾向が続く。前回19年は初めて4割を切り、過去最低の39・76%になった。沈下する投票率を回復させなければならない。

 地域を脅かす課題は新型コロナウイルスの感染拡大だけではない。物価高騰で一段と進む地域経済の疲弊、少子高齢化や人口流出、台風など気候変動による災害の激甚化など、不安要素は年を追って強まる。

 有権者は地域の課題を巡る候補者の訴えや政治姿勢とともに、国政での取り組みも判断基準にしてほしい。各政党の公約の中身を吟味して比較するだけでも、各政党の本気度や実現可能性をうかがい知ることができるのではないか。

 一方、立候補者や各陣営は有権者の生の声を直接聞く機会と捉え、謙虚に耳を傾けてほしい。その中から、議員のなり手不足が深刻化している地方議会の改革に向けたヒントが見つかるかもしれない。議員としての資質や力量を見直すきっかけになるかもしれない。

 有権者との対話を通して、低投票率が示す県議会への関心度をしっかりと直視してもらいたい。県議会や県議の仕事についての存在意義を見詰め発信する機会でもある。

 県議会は時代の新しい空気に敏感になり、もっと住民ニーズを拾い上げる必要がある。多くの女性や若い世代、マイノリティーの人々が政策立案の場に参画できる態勢づくりに加えて、多選の是非、幅広い人材発掘の重要性、「開かれた議会」づくりへの思いも聞きたい。

 全国的な視点で言えば、地方議員の増減はもちろん、岸田文雄首相(自民党総裁)の政権運営に影響してくる。中でも県議選と、後半戦の市区町村議選が与野党の党勢を占う。

 地方議員は国政選挙で有力な運動要員になるからだ。その点、身近な生活や人脈だけを判断材料にせず、憲法や社会保障問題など国全体の将来像も考え合わせる必要があるだろう。

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