統一地方選後半戦
2023年4月24日
◆住民自治へ質の高い政治を◆
統一地方選の締めくくりとなる3町村長選、12市町村議選、えびの市議補選が23日、投開票された。
人口流出と過疎化、疲弊する地域経済の立て直しといった課題に直面する中、選挙は地域の課題を立ち止まって考える機会だ。新たな任期が始まる首長と議員はそれらの対応策を明確にし、早急に実行に移してほしい。
3町村長選ではいずれも新人首長が誕生した。川南町長選では元町中央地区自治公民館長の東高士氏(72)=無所属=が現職に競り勝った。綾町長選は前町議の松本俊二氏(62)=同=が22票の僅差で現職を制した。8年ぶりの選挙戦となり無所属新人の3人が争った諸塚村長選では前副村長の藤崎猪一郎氏(63)が当選した。
投票率は川南町64・28%、綾町71・27%、諸塚村90・26%。特に昨年の台風14号で甚大な被害を受けた諸塚村では地域の維持に危機感が高まり、復旧復興が焦点になった。
定数40に対して61人が立候補し県内最大の激戦区となった宮崎市議選の投票率は38・34%。過去最低だった前回2019年の36・55%をわずかに上回った。新人が半数を占め、30~40代の若い世代が目立ち、世代交代への関心を集めた。ただ、投票率は依然低迷しており、住民の意思が集約されたとは言い難い。
投票率が低いとある特定の支持基盤による影響が強まり、その主張が反映されやすくなる。政治は特定の団体や勢力が独占する場ではない。住民自治の理念が尊重され、地域に暮らす不特定多数の人々の意見を吸い上げて反映させる場だ。
首長と議員は幅広い民意に耳を傾け、地方行政の大本である住民自治を機能させるという責務を果たしてもらいたい。
無投票当選の割合も懸念された。県内15市町村議選と2市町議補選の定数234のうち、無投票当選は39人。割合は16・7%で、前回の統一地方選後半戦の11・9%を上回った。日南市議選は1950年の市制施行以来、初めての無投票となった。
無投票当選は多様な視点を議員や議会から奪う恐れがある。主張を闘わせる機会がなく、緊張感が失われかねない。有権者に選択肢を示す大切さを改めて認識し、議員のなり手を発掘する取り組みが必要だ。
物価高騰など住民の不安が高まっており、住民生活を支えるには質の高い地方行政、議員活動が求められる。住民の声に積極的に応えて施策につなげ、「地域をつくる」仕事の面白さを発信してほしい。住民自治の高まりがその先にあるはずだ。
統一地方選の締めくくりとなる3町村長選、12市町村議選、えびの市議補選が23日、投開票された。
人口流出と過疎化、疲弊する地域経済の立て直しといった課題に直面する中、選挙は地域の課題を立ち止まって考える機会だ。新たな任期が始まる首長と議員はそれらの対応策を明確にし、早急に実行に移してほしい。
3町村長選ではいずれも新人首長が誕生した。川南町長選では元町中央地区自治公民館長の東高士氏(72)=無所属=が現職に競り勝った。綾町長選は前町議の松本俊二氏(62)=同=が22票の僅差で現職を制した。8年ぶりの選挙戦となり無所属新人の3人が争った諸塚村長選では前副村長の藤崎猪一郎氏(63)が当選した。
投票率は川南町64・28%、綾町71・27%、諸塚村90・26%。特に昨年の台風14号で甚大な被害を受けた諸塚村では地域の維持に危機感が高まり、復旧復興が焦点になった。
定数40に対して61人が立候補し県内最大の激戦区となった宮崎市議選の投票率は38・34%。過去最低だった前回2019年の36・55%をわずかに上回った。新人が半数を占め、30~40代の若い世代が目立ち、世代交代への関心を集めた。ただ、投票率は依然低迷しており、住民の意思が集約されたとは言い難い。
投票率が低いとある特定の支持基盤による影響が強まり、その主張が反映されやすくなる。政治は特定の団体や勢力が独占する場ではない。住民自治の理念が尊重され、地域に暮らす不特定多数の人々の意見を吸い上げて反映させる場だ。
首長と議員は幅広い民意に耳を傾け、地方行政の大本である住民自治を機能させるという責務を果たしてもらいたい。
無投票当選の割合も懸念された。県内15市町村議選と2市町議補選の定数234のうち、無投票当選は39人。割合は16・7%で、前回の統一地方選後半戦の11・9%を上回った。日南市議選は1950年の市制施行以来、初めての無投票となった。
無投票当選は多様な視点を議員や議会から奪う恐れがある。主張を闘わせる機会がなく、緊張感が失われかねない。有権者に選択肢を示す大切さを改めて認識し、議員のなり手を発掘する取り組みが必要だ。
物価高騰など住民の不安が高まっており、住民生活を支えるには質の高い地方行政、議員活動が求められる。住民の声に積極的に応えて施策につなげ、「地域をつくる」仕事の面白さを発信してほしい。住民自治の高まりがその先にあるはずだ。