安倍派裏金疑惑
2023年12月14日
◆政権存続に大きな疑義ある◆
自民党の最大派閥で巨額の裏金づくりが横行していたならば、政権を担当する資格に大きな疑義が生じる深刻な事態だ。内閣の要である官房長官がそれを認識していたならば、辞任は当然で内閣総辞職に値する。人事刷新というその場しのぎの対応をしても、失墜した政治への信頼は取り戻せまい。
岸田文雄首相は安倍派の政治資金パーティー問題で、国会閉幕後に、政治資金収支報告書に記載せずに販売ノルマを超える売り上げのキックバックを受けたとされる松野博一官房長官や西村康稔経済産業相ら4閣僚を交代。事実上の更迭となる。
党執行部でも、還流の疑いが持たれている萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長を更迭、安倍派の副大臣も代える方向だ。首相の任命責任は極めて重い。法律違反の裏金づくりを容認していたとすれば、松野氏らは議員辞職に相当する。
岸田首相は、支持を受けてきた安倍派を要職から一掃することで、けじめをつける考えだろうが、幕引きは許されない。国民が知りたいのは、一晩で9千万~2億円余を稼ぐパーティーにおけるカネの流れの実態だ。
政治資金パーティーを巡る「闇」は深い。安倍派では、塩谷立座長を筆頭に派閥運営を主導する5人組ら幹部のほか、橋本聖子元五輪相ら数十人の議員が還流を受けたとされ、最近5年間で5億円程度に上る可能性もある。「1強」と呼ばれた憲政史上最長の安倍政権を足元で支えてきた派閥とあって、とりわけ責任は重大だ。
この間の岸田首相の危機感は希薄だった。5派閥の過少記載では「事務的なミス」と軽視、裏金づくりの疑惑が報じられても、ひとごとのようなコメントに終始した。逆風の強さに慌ててパーティー自粛や、岸田派会長の辞任や離脱を打ち出したものの、松野氏をかばい続け、判断の遅さと甘さを露呈した。
松野氏らの対応も不誠実極まりない。報告書不記載の還流の有無は、すぐにでも答えられるはずなのに、「精査中」「捜査中」と説明を拒んできた。こうした姿勢の閣僚や党幹部が決める政策を、国民が信用して受け入れると考えていたか。
岸田派でも新たなパーティー収入の過少申告の疑いが発覚しており、世論は安倍派に限らず、自民党の構造的な問題と捉えている。自民党が自浄能力を発揮しなければならない。
まずは東京地検の捜査を待たずに、実態を徹底的に調査して結果を公表する。その上で「裏金の温床」と指摘されてきたパーティーの禁止も含め、抜本的な改革に取り組むことが不可欠だ。派閥の解体など解党的な出直しにも着手せねばならない。
自民党の最大派閥で巨額の裏金づくりが横行していたならば、政権を担当する資格に大きな疑義が生じる深刻な事態だ。内閣の要である官房長官がそれを認識していたならば、辞任は当然で内閣総辞職に値する。人事刷新というその場しのぎの対応をしても、失墜した政治への信頼は取り戻せまい。
岸田文雄首相は安倍派の政治資金パーティー問題で、国会閉幕後に、政治資金収支報告書に記載せずに販売ノルマを超える売り上げのキックバックを受けたとされる松野博一官房長官や西村康稔経済産業相ら4閣僚を交代。事実上の更迭となる。
党執行部でも、還流の疑いが持たれている萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長を更迭、安倍派の副大臣も代える方向だ。首相の任命責任は極めて重い。法律違反の裏金づくりを容認していたとすれば、松野氏らは議員辞職に相当する。
岸田首相は、支持を受けてきた安倍派を要職から一掃することで、けじめをつける考えだろうが、幕引きは許されない。国民が知りたいのは、一晩で9千万~2億円余を稼ぐパーティーにおけるカネの流れの実態だ。
政治資金パーティーを巡る「闇」は深い。安倍派では、塩谷立座長を筆頭に派閥運営を主導する5人組ら幹部のほか、橋本聖子元五輪相ら数十人の議員が還流を受けたとされ、最近5年間で5億円程度に上る可能性もある。「1強」と呼ばれた憲政史上最長の安倍政権を足元で支えてきた派閥とあって、とりわけ責任は重大だ。
この間の岸田首相の危機感は希薄だった。5派閥の過少記載では「事務的なミス」と軽視、裏金づくりの疑惑が報じられても、ひとごとのようなコメントに終始した。逆風の強さに慌ててパーティー自粛や、岸田派会長の辞任や離脱を打ち出したものの、松野氏をかばい続け、判断の遅さと甘さを露呈した。
松野氏らの対応も不誠実極まりない。報告書不記載の還流の有無は、すぐにでも答えられるはずなのに、「精査中」「捜査中」と説明を拒んできた。こうした姿勢の閣僚や党幹部が決める政策を、国民が信用して受け入れると考えていたか。
岸田派でも新たなパーティー収入の過少申告の疑いが発覚しており、世論は安倍派に限らず、自民党の構造的な問題と捉えている。自民党が自浄能力を発揮しなければならない。
まずは東京地検の捜査を待たずに、実態を徹底的に調査して結果を公表する。その上で「裏金の温床」と指摘されてきたパーティーの禁止も含め、抜本的な改革に取り組むことが不可欠だ。派閥の解体など解党的な出直しにも着手せねばならない。