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県都の活力

2024年1月5日
◆人口減少にどう立ち向かう◆

 宮崎市は4月に市制施行100周年を迎える。本年度から機運醸成事業が始まっており、新年度に式典やイベントが予定されている。一方、「平成の大合併」時に40万人を超えていた人口は、緩やかに下降線をたどっている。県都でも人口減少対策は待ったなしだ。どう活力を生み出すか。節目の年に将来に向けた議論を本格化させたい。

 新年度にかけて同市は「“ミンナ”で祝う」「“ミリョク”の発信」「“ミライ”への投資」の三つのテーマの下、100周年記念事業を展開する考えだ。記念式典や市民参加型記念イベントを開く計画で、本年度内には記念ロゴマークも発表される。折しも、市庁舎建て替えに向けた基本計画が本年度内に策定予定。2026年度の着工を目指す、新しい市庁舎のイメージが見えてくる。

 そんな中、進行しているのが人口減少だ。「平成の大合併」後、同市は13年に40万2572人と人口のピークを迎えた。だが、16年に40万人を切り、昨年12月1日時点で39万7078人となっている。

 清山知憲市長は就任1年を迎えた昨年2月の施政方針で「これまでは県内の他地域からの流入もあり、比較的人口が保たれてきた。しかし少子高齢化が加速し、いよいよ本市人口は減少し始めており、厳しい時代を迎える」との認識を示した。同市人口は県人口の4割近くを占めており、市の活力は県の勢いにも影響するだろう。

 同市の将来推計人口は40年に約35万5千人、60年に約29万3千人になると予想されている。自然動態、社会動態の両面でどのような手が打てるか。2月で1期目の折り返しを迎える清山市長の手腕に注目したい。

 特に若い世代に働く場があるかは重要だ。現在取り組んでいる工業団地適地調査など各事業が実を結ぶことを願う。

 人口が減る中でも社会機能が保てるよう、デジタル化の推進や多様な人材が力を発揮できる環境づくりも欠かせない。

 また、南海トラフ地震がいつ襲ってくるかもしれず、災害に強いまちづくりを着実に進めなければならない。

 このほか同市では、27年に本県開催が予定されている国民スポーツ大会(国スポ)・全国障害者スポーツ大会(障スポ)に向け、県が新設するプールの完成が24年12月に見込まれるなど、「新たな景色」もお目見えしそうだ。

 隣接する国富町では、電子部品大手ロームグループが新工場の24年末稼働を目指し整備を進める。就業人数は請負会社社員なども含め700人(26年度末時点)との想定で、県全体での明るい話題となっている。

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