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県北展望

2024年1月10日
◆日向市長選 活発な論戦期待◆

 県北の2024年一番の注目は3月10日告示、17日投開票の日向市長選だ。現職で3期目を目指す十屋幸平氏(69)と、ITコンサルタント会社代表黒木紹光氏(66)、元衆院議員秘書の黒木章光氏(46)が立候補を表明している。大きな争点は十屋市政2期8年の評価となる。

 4年前の前回は、国内外で拡大しつつあった新型コロナウイルスに振り回された。告示直前の20年3月4日に県内で初めて感染が確認され、拡大防止へ一気に緊張感が高まった。

 選挙戦もそのあおりを受け、出陣式、個人演説会の中止など人が集まる状況が避けられた。告示後に県北で初めての感染者が出ると、さらにコロナへの警戒が高まり、選挙運動を全面自粛する陣営も現れた。住民も選挙どころでなくなり投票率は前々回(16年)を約20ポイント下回る37・71%と過去最低となった。このことを踏まえると、十屋氏にとっては実質初めての審判を受けると言っても過言ではない。

 日向市では昨年、国が4車線化を進めてきた「国道10号門川日向拡幅」の最後の区間が開通し事業化以来53年を経て完了という明るい話題があった。渋滞は解消され、救急、物流などに効果も現れ始めている。コロナは昨年5月から感染症法上の位置付けが5類に移行し、以前の日常に戻りつつある。人口減社会の中でどう街づくりをしていくのか、希望を持てる具体的な論戦で住民の関心を高めたい。

 一方、延岡市の読谷山洋司市長は2期目の折り返しを迎える。昨年は3月議会で23年度一般会計当初予算が、原案、修正案共に否決され、専決処分されるという異例の事態となった。このほか「空飛ぶクルマ」も見据えた新たな救急搬送体制づくり事業や市役所周辺の駐車場管理システム整備など市執行部と議会が対立する場面が多く見られた。議論は大事だが互いに言いっ放しでは何も生まれない。冷静な判断が求められる。

 また昨年は、市職員による備品の窃取や虚偽公文書作成といった不祥事が発覚したり、事務処理ミスが相次いだりしたことから組織の立て直しも急務だ。

 西臼杵郡では三つの公立病院が4月に経営統合し、機能を再編する。急性期患者が対象の「一般病床」機能を高千穂に、長期療養が必要な患者が対象の「療養病床」機能を日之影に集約。五ケ瀬は医療ケアと介護を必要とする患者向けに介護保険施設の機能強化を図る。役割を明確化し、地域で一体となって持続可能な医療提供体制を目指すのが目的だ。

 西臼杵に限らず人口減少で病院経営は今後厳しくなることが予想される。県北全体で地域医療を考えるきっかけにしたい。

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