県内文化の動き
2024年1月13日
◆守り伝える取り組みに注目◆
国の文化審議会は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に「書道」を推薦することを昨年末、決定した。2026年に登録の可否が決まる。いわば「オールジャパン」の文化発信につながる前進で、約9年間の推進活動を支えた本県の書道関係者も活気づいている。
中国からもたらされた書道は、日本で独自に変化しながら「かな書道」という特有の文化も育んだ。中国書道は09年に無形文化遺産に登録。日本の書道もぜひ、との声が関係者から上がり、15年に関連3団体が推進協議会を設立した。
書道界は流派や会派を超えて署名やPRイベントなどを展開。県書道協会の関係者も、官民の幅広い団体からの賛同署名集めに汗を流したという。同協会の岩切天掃顧問(75)は「書道を守り伝えようと関係者が大同団結した成果」と喜ぶ。愛好者の自信につながるのはもちろん、芸術、観光など多方面への波及効果が期待できよう。
「芸能」「工芸技術」分野の文化財のほかに、日常の暮らしに身近な「生活文化」にまつわる業(わざ)や精神性を無形文化遺産に推す動きは、近年の潮流だ。すでに、書道に先駆けて「伝統的酒造り」が22年に提案されており、茶道や華道なども候補に取り沙汰されている。背景には、愛好者の減少と高齢化に対する危機感がある。
同じく文化を守り伝えるために、本県の保存継承団体が主導し登録を目指している「神楽」は、今回は選に漏れた。実は、動き出しは書道とほぼ同時期で、組織立った活動で書道が先行したようだ。神楽関係者にとっては残念だが、道が閉ざされたわけではない。全国の各団体の連携強化など、次の候補選定に向けた取り組みを続けてほしい。
守り伝えるという文脈において、今年の県内の活動では春の宮崎国際音楽祭にも注目したい。29回目を迎える今回初めて、宮崎、延岡、都城、日南市など県内各地で分散開催される。例年メイン会場となるメディキット県民文化センターが改修工事を実施しているためだ。
今回の挑戦は、大きな意味を持つ。宮崎に世界有数のクラシックコンサートを根付かせることが、音楽祭創始者の一人で昨年亡くなった青木賢児さんの遺志だ。音楽祭は今やしっかりと定着したが、末永い継承には県民が上質の音楽に触れる環境を一層充実させる必要がある。
同センターから遠方で暮らす県民に向けて、今回の分散開催は絶好の機会を提供できる。会場の確保や音質面の調査検討、開催地の関係者との連絡調整など苦労は多かろうが、その経験は必ず、来年の30回記念音楽祭やその先に生かされるはずだ。
国の文化審議会は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に「書道」を推薦することを昨年末、決定した。2026年に登録の可否が決まる。いわば「オールジャパン」の文化発信につながる前進で、約9年間の推進活動を支えた本県の書道関係者も活気づいている。
中国からもたらされた書道は、日本で独自に変化しながら「かな書道」という特有の文化も育んだ。中国書道は09年に無形文化遺産に登録。日本の書道もぜひ、との声が関係者から上がり、15年に関連3団体が推進協議会を設立した。
書道界は流派や会派を超えて署名やPRイベントなどを展開。県書道協会の関係者も、官民の幅広い団体からの賛同署名集めに汗を流したという。同協会の岩切天掃顧問(75)は「書道を守り伝えようと関係者が大同団結した成果」と喜ぶ。愛好者の自信につながるのはもちろん、芸術、観光など多方面への波及効果が期待できよう。
「芸能」「工芸技術」分野の文化財のほかに、日常の暮らしに身近な「生活文化」にまつわる業(わざ)や精神性を無形文化遺産に推す動きは、近年の潮流だ。すでに、書道に先駆けて「伝統的酒造り」が22年に提案されており、茶道や華道なども候補に取り沙汰されている。背景には、愛好者の減少と高齢化に対する危機感がある。
同じく文化を守り伝えるために、本県の保存継承団体が主導し登録を目指している「神楽」は、今回は選に漏れた。実は、動き出しは書道とほぼ同時期で、組織立った活動で書道が先行したようだ。神楽関係者にとっては残念だが、道が閉ざされたわけではない。全国の各団体の連携強化など、次の候補選定に向けた取り組みを続けてほしい。
守り伝えるという文脈において、今年の県内の活動では春の宮崎国際音楽祭にも注目したい。29回目を迎える今回初めて、宮崎、延岡、都城、日南市など県内各地で分散開催される。例年メイン会場となるメディキット県民文化センターが改修工事を実施しているためだ。
今回の挑戦は、大きな意味を持つ。宮崎に世界有数のクラシックコンサートを根付かせることが、音楽祭創始者の一人で昨年亡くなった青木賢児さんの遺志だ。音楽祭は今やしっかりと定着したが、末永い継承には県民が上質の音楽に触れる環境を一層充実させる必要がある。
同センターから遠方で暮らす県民に向けて、今回の分散開催は絶好の機会を提供できる。会場の確保や音質面の調査検討、開催地の関係者との連絡調整など苦労は多かろうが、その経験は必ず、来年の30回記念音楽祭やその先に生かされるはずだ。