24年度県予算案
2024年2月16日
◆未来への投資これで十分か◆
県は16日開会の2月定例県議会に、総額6598億円の2024年度一般会計当初予算案を提案する。コロナ対策費が23年度より約300億円減少し17年度以来の前年度割れとなったが、この対策費を除いた23年度と比べると同水準である。
コロナの感染症法上の5類移行後初となる予算編成で、次代志向型の文言と事業が並んだ。取りこぼしている分野がないか、社会的弱者への支援は十分か配慮しながら、着実に取り組んでほしい。その前に期待されるのは県議会での活発な議論だ。人口減少で公共サービスが縮減する現実を見据え、地域の未来を具体的に、多様な視点で検証してもらいたい。
コロナ禍や度重なる災害は県民生活、経済活動に大きなダメージを与えた。
脆弱(ぜいじゃく)な医療資源、急速な人口減少、困窮する人々への支援、子どもたちの教育保障、地域文化の継承といった地域課題を顕在化させた。
23年度の「宮崎再生予算」を飛躍させ、24年度は「3つの日本一挑戦予算」としたが、コロナ禍などの後遺症がまだ残っていることを忘れてはならない。引き続き、地域課題の解消へ尽力すべきだ。中でも、人口減少問題には迅速で確実な対応が求められる。
「3つの日本一挑戦」のうち「子ども・若者」分野は23事業13億5千万円。男性の育児休業の取得促進、不登校支援の強化などが並んだ。
若い世代が本県に定着し、あるいはUIJターンで本県に定住するためには安定した雇用と賃金、産業創出が基盤となる。企業誘致を含めた働く場の確保、見劣りする賃金水準の向上が不可欠だが、目玉となる大型事業は乏しい。若者が結婚や出産に踏み切れない理由の上位は経済的理由であり、社会に出た後にのしかかる奨学金返済の負担も指摘される。
若者への経済的支援を軸にしたサポートを手厚くすることが、ひいては地域の持続性を高める。しかし、県の姿勢はかすんで見える。若者定着に本気なら、子どもの教育環境の充実、若者への経済支援で目新しさが欲しかった。
予算案と事業を通して、「君たちの人生を応援するから宮崎に残ってほしい」と、もっとダイレクトに若年層にメッセージを送ることはできなかったか。県議会では、未来への投資として十分と言えるかも一つの論点になるだろう。
県立病院事業会計への貸付金50億円も計上した。近年にない大規模支出だが、県民の命と健康を守る最後の砦(とりで)である。一時しのぎでなく健全運営への見通しが必要になる。
県は16日開会の2月定例県議会に、総額6598億円の2024年度一般会計当初予算案を提案する。コロナ対策費が23年度より約300億円減少し17年度以来の前年度割れとなったが、この対策費を除いた23年度と比べると同水準である。
コロナの感染症法上の5類移行後初となる予算編成で、次代志向型の文言と事業が並んだ。取りこぼしている分野がないか、社会的弱者への支援は十分か配慮しながら、着実に取り組んでほしい。その前に期待されるのは県議会での活発な議論だ。人口減少で公共サービスが縮減する現実を見据え、地域の未来を具体的に、多様な視点で検証してもらいたい。
コロナ禍や度重なる災害は県民生活、経済活動に大きなダメージを与えた。
脆弱(ぜいじゃく)な医療資源、急速な人口減少、困窮する人々への支援、子どもたちの教育保障、地域文化の継承といった地域課題を顕在化させた。
23年度の「宮崎再生予算」を飛躍させ、24年度は「3つの日本一挑戦予算」としたが、コロナ禍などの後遺症がまだ残っていることを忘れてはならない。引き続き、地域課題の解消へ尽力すべきだ。中でも、人口減少問題には迅速で確実な対応が求められる。
「3つの日本一挑戦」のうち「子ども・若者」分野は23事業13億5千万円。男性の育児休業の取得促進、不登校支援の強化などが並んだ。
若い世代が本県に定着し、あるいはUIJターンで本県に定住するためには安定した雇用と賃金、産業創出が基盤となる。企業誘致を含めた働く場の確保、見劣りする賃金水準の向上が不可欠だが、目玉となる大型事業は乏しい。若者が結婚や出産に踏み切れない理由の上位は経済的理由であり、社会に出た後にのしかかる奨学金返済の負担も指摘される。
若者への経済的支援を軸にしたサポートを手厚くすることが、ひいては地域の持続性を高める。しかし、県の姿勢はかすんで見える。若者定着に本気なら、子どもの教育環境の充実、若者への経済支援で目新しさが欲しかった。
予算案と事業を通して、「君たちの人生を応援するから宮崎に残ってほしい」と、もっとダイレクトに若年層にメッセージを送ることはできなかったか。県議会では、未来への投資として十分と言えるかも一つの論点になるだろう。
県立病院事業会計への貸付金50億円も計上した。近年にない大規模支出だが、県民の命と健康を守る最後の砦(とりで)である。一時しのぎでなく健全運営への見通しが必要になる。