トランプ氏 共和党候補へ
2024年3月8日
◆行動により国民と向き合え◆
米大統領選の共和党候補指名争いで、トランプ前大統領(77)が指名獲得を確実にした。多くの州で予備選や党員集会が集中した5日のスーパーチューズデーで対抗馬のヘイリー元国連大使に大差で勝利。11月の本選で民主党の現職、バイデン大統領(81)との再決戦に臨む。
米紙ニューヨーク・タイムズによる直近の支持率調査で、トランプ氏はバイデン氏を48%対43%でリードし、今勝利で政権奪取に自信を深めている。
トランプ氏に死角はないのか。ヘイリー氏が獲得した票に目を凝らすと、弱点が浮かぶ。ヘイリー氏は東部バーモント州では勝利、共和党の牙城である南部テキサスのほか、本選で接戦も予想される南部ノースカロライナ州で約20%得票し、反トランプ層の厚さも見せつけた。
トランプ氏に批判的な票が民主党のバイデン氏へそのまま流れることはないが、大統領選挙は接戦が予想され勝敗を左右する可能性は高い。これを意識してか、トランプ氏は5日の勝利宣言で「米国は団結する」と、党内穏健派や無党派層へ秋波を送った。
米国の分断修復の姿勢としては評価できる。ただ分断や混乱を政治エネルギーに転化してきたスタイルから判断すると、選挙用に歓心を買う発言に過ぎないとの疑念を拭えない。トランプ氏は行動を持って国民と向き合うべきだ。
トランプ氏は共和党指名争いで、候補者の政策や実行力を判断する重要な機会である討論会を拒否してきた。バイデン氏との討論には前向きのようだが、20年選挙時のような相手の発言を執拗に妨害する行為は慎み、真摯に臨むよう求めたい。
世論調査会社ギャラップの調査によれば、自らを民主党もしくは共和党員とみなす回答者はいずれも27%と歴史的な低さとなった。無党派と回答したのは43%に上り、対立が恒常化した二大政党制への疑問が膨らんでいる現実を裏付けている。
刑事被告人であるトランプ氏と、高齢不安を抱えて支持率が伸び悩むバイデン氏の“不人気対決”とも評される大統領選挙を、政治不信を克服した意味ある指導者選びにするのは、バイデン、トランプ両氏の責任だ。
移民対策など国内の諸問題は言うに及ばず、中国、ロシアへの対応など、選挙の結果にかかわらず米政権が取り組むべき課題は多い。
今後本格化するキャンペーン期間中、トランプ氏に期待するのは支持者を喜ばすだけの甘言ではなく実行可能な政策提示だ。バイデン氏には堅調な米経済の維持と、国際情勢安定への指導力発揮が求められる行動となろう。
米大統領選の共和党候補指名争いで、トランプ前大統領(77)が指名獲得を確実にした。多くの州で予備選や党員集会が集中した5日のスーパーチューズデーで対抗馬のヘイリー元国連大使に大差で勝利。11月の本選で民主党の現職、バイデン大統領(81)との再決戦に臨む。
米紙ニューヨーク・タイムズによる直近の支持率調査で、トランプ氏はバイデン氏を48%対43%でリードし、今勝利で政権奪取に自信を深めている。
トランプ氏に死角はないのか。ヘイリー氏が獲得した票に目を凝らすと、弱点が浮かぶ。ヘイリー氏は東部バーモント州では勝利、共和党の牙城である南部テキサスのほか、本選で接戦も予想される南部ノースカロライナ州で約20%得票し、反トランプ層の厚さも見せつけた。
トランプ氏に批判的な票が民主党のバイデン氏へそのまま流れることはないが、大統領選挙は接戦が予想され勝敗を左右する可能性は高い。これを意識してか、トランプ氏は5日の勝利宣言で「米国は団結する」と、党内穏健派や無党派層へ秋波を送った。
米国の分断修復の姿勢としては評価できる。ただ分断や混乱を政治エネルギーに転化してきたスタイルから判断すると、選挙用に歓心を買う発言に過ぎないとの疑念を拭えない。トランプ氏は行動を持って国民と向き合うべきだ。
トランプ氏は共和党指名争いで、候補者の政策や実行力を判断する重要な機会である討論会を拒否してきた。バイデン氏との討論には前向きのようだが、20年選挙時のような相手の発言を執拗に妨害する行為は慎み、真摯に臨むよう求めたい。
世論調査会社ギャラップの調査によれば、自らを民主党もしくは共和党員とみなす回答者はいずれも27%と歴史的な低さとなった。無党派と回答したのは43%に上り、対立が恒常化した二大政党制への疑問が膨らんでいる現実を裏付けている。
刑事被告人であるトランプ氏と、高齢不安を抱えて支持率が伸び悩むバイデン氏の“不人気対決”とも評される大統領選挙を、政治不信を克服した意味ある指導者選びにするのは、バイデン、トランプ両氏の責任だ。
移民対策など国内の諸問題は言うに及ばず、中国、ロシアへの対応など、選挙の結果にかかわらず米政権が取り組むべき課題は多い。
今後本格化するキャンペーン期間中、トランプ氏に期待するのは支持者を喜ばすだけの甘言ではなく実行可能な政策提示だ。バイデン氏には堅調な米経済の維持と、国際情勢安定への指導力発揮が求められる行動となろう。