避難者、先行きに不安 延岡竜巻 住宅が損壊
2019年10月5日
台風17号に伴う竜巻被害に見舞われた延岡市で、屋根や壁が破損し、自宅に住めなくなった5世帯8人が、市営住宅での生活を余儀なくされている。住んでいたアパートが損壊したため、立ち退きを迫られている被災者も。「これから、どこに住めばいいのか…」。先行きの見えない不安に襲われている。
JR日豊線延岡駅に近い同市中川原町では、約40戸が竜巻被害を受けた。1人暮らしのタクシー乗務員、釘宮孝剛さん(72)が10年以上住む平屋の借家は屋根瓦や壁が吹き飛んだ。部屋は家具類が散乱し、天井からは雨漏り。被災翌日から9日間、市内の友人宅に身を寄せた。
「昔からの友人とはいえ心苦しくなった」と今月2日には市営住宅に移った。数点の家財道具しかない部屋は寒々しく、慣れ親しんだ借家が懐かしく思い出される。ようやくたどり着いた市営住宅も、入居期間は3カ月に限られている。
釘宮さんの収入は、わずかな年金とタクシー乗務員の給料。「ずっと住んでいた地域に戻りたいが、家賃が高くて借りられない。このままでは住む場所がなくなる」。焦燥感を募らせながら、半壊し修繕のめども立たない住み慣れた借家の片付けに追われている。
屋根がビニールシートに覆われた住宅が目立つ五ケ瀬川沿いの同市昭和町。同所の主婦田村アサ子さん(83)が30年以上、1人で暮らしてきた木造アパートも外壁や玄関の扉が損壊した。雨が滝のように降り込み、畳はびしゃびしゃに。現在、近くの格安旅館に泊まり、昼間に部屋を片付ける。アパートの修繕が終われば、また住めると思っていたが、大家から「取り壊すので3カ月以内に別の住居を探してほしい」と告げられた。
田村さんは足が悪く、移動はシニアカー。住居を自由に探し回るのは難しい。「通院もあり、今の地域に住みたいが、高齢者の1人暮らしなので借りられるかどうか」。現在、友人に家を探してもらっているが、「住む家も見つからず、片付けも終わらない。どうすればいいのか分からない」と途方に暮れる。不安で深夜になっても寝付けず、睡眠薬に頼り続けている。
【写真】借家の片付けに追われる釘宮孝剛さん。現在、身を寄せる市営住宅の入居期間は3カ月となっている=4日午後、延岡市中川原町
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