全面復旧遠く 延岡竜巻1カ月
2019年10月22日
延岡市中心部を縦断し家屋や農地に大きな被害をもたらした台風17号に伴う竜巻災害は22日、発生から1カ月を迎えた。壊れた屋根を覆うブルーシートは多くの建物で取り付けられたまま。21日もあちこちで足場が組まれ、業者らが修繕を行う姿が見られた。被災地では保険の事務手続きや補修作業の順番待ちが続き、全面復旧には遠い。
市によると、同日までに申請を受け付けた罹災(りさい)証明は597件。このうち家屋関係は493件で、全壊は1件、大規模半壊3件、半壊5件、一部損壊484件となっている。
農業関係では、園芸用ハウスの全壊6棟、半壊1棟、一部損壊5棟、ガラス、ビニール破損11棟。水田20ヘクタールでイネが倒伏し、ガラスやがれきの飛散は25ヘクタールに及んだ。被害額は施設、水稲、野菜など計約4370万円と推定される。
市は区長らへの聞き取りを行い、ケアが必要とみられる被災者22世帯35人を保健師が訪問。「眠れない」「心細い」など不安を訴える相談が寄せられた。今後も心身のケアを継続する。
国は11日、延岡市の竜巻被害を激甚災害に指定すると閣議決定。農業施設の復旧や営農再開に関する自治体の支援事業の国庫補助率を引き上げる。また、農家の経営再建費用の補助を増額するなどの国の支援策も決まった。
一方で、家屋被害の復旧に対する公的支援策は先行きが不透明だ。支援の根拠となる「災害救助法」や「被災者生活再建支援法」で定める適用基準に、今回の竜巻災害は合致しない。同市は国、県からの補助を受けられる別の支援策を模索している。
【写真】竜巻の被災地では、屋根をブルーシートで覆い、外壁工事用の足場が組まれた家屋が今もなお点在する=21日午前、延岡市昭和町(画像の一部を加工しています)
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