昨季最優秀中継ぎ山口 剛腕で先発挑む
2010.02.14付
昨年のセ・リーグ最優秀中継ぎ投手、巨人の山口が先発に挑戦している。「だいぶ球数を気にせず投げられるようになった」。大きな期待を背負う中、わずかな不安を抱きながらも着実に前進している。ここ2年は短いイニングで全力投球してきた。未知の領域の挑戦となる今季、自主トレでは内海や東野らと同じメニューをこなし、準備は万端に整えてきたはずだった。
しかし、キャンプ序盤で壁にぶつかった。力を加減すれば球がばらつき、全力では長い回を投げきれるかどうかわからない。「多くの球数を投げることを意識しすぎて、腕が振れなくなった」と迷路にはまった。
香田投手コーチは先発転向の理由を「一番はハードに頑張ってきた、彼の体のダメージを考えたから」と説明する。山口の能力を生かし、もう一回りスケールアップさせる。配置転換には、そんな首脳陣の気遣いもこもっていた。
行き詰まる左腕に首脳陣は、中継ぎの時と同様の投球を続けるように助言し、実戦でも短いイニングから徐々に延ばすと伝えた。原点回帰で心のつかえが取れた山口に、剛腕がよみがえった。
11日には初めての100球超えとなる106球を投じた。直球にスライダー、チェンジアップ。思い切り腕を振り、昨季同様の球威で投げ続ける背番号47がいた。「少し前までは100球前に、ばてていた。先発の実感はまだないが、投げる体力はついた」と、表情にも明るさが戻った。
【写真】先発ローテーション入りに挑戦する巨人・山口=県総合運動公園