住民参加へ提案次々
午後8時の開票速報が楽しみでたまらない。国政選挙や知事選の投票日、宮崎市・宮崎大宮高文科情報科1年の橋本康平さん(16)=宮崎市=は、当選して国や地域を背負っていくのは誰なのか高い関心を抱いている。
県職員の父からの勧めで、幼いころから新聞を読み、今の地方の在り方に疑問を抱くようになった。地方分権が進んでいるといっても、地方交付税や国庫支出金など国からの財政支援が不可欠。「結局は国の力。このままでは、いつまでたっても地方の発言力は高まらないのではないか」
政治への思いを形にしたいと昨年、小論文を書くことにしたが、題材が決まらない。そんなある日、今夏の参院選で人口の少ない選挙区を隣と一緒にする「合区」を取り入れるニュースを見て、思うことがあった。
北海道の議員は広い地域から数人なのに、東京は狭くても多くの議員を出すことができる。地方の声をもっと中央に届かせるには、人口を基本にした議員の選出方法にとらわれるべきではない-。
解決策が浮かんだ。衆議院とほぼ役割の差がなくなったとして参議院を廃止。各都道府県の県議、市町村議を1人ずつ選出した地方院を設置すれば、地方の実情を訴えることができるはず。
「『地方院』構想-民主主義と地方を守り、無意味な議会を壊し、私たちの議会を創る-」。そう題して全国から集まる「NRI学生小論文コンテスト」(野村総合研究所主催)に応募。本県初の大賞に輝いた。
若者が政治や選挙について意見発表する「わけもんの主張」(明るい選挙県推進協議会など主催)にも参加。今月13日、県議会議場で開かれた大会では「賛成、反対にとらわれず議論できる場が必要」として住民参加型の「地方広聴会」開催を提案。「未来を見詰めて、今一歩を踏み出します」と力を込め、優秀賞に選ばれた。
小学生のころ、首相が短期間で目まぐるしく変わる政権が不安定な時期が続いた。有権者一人一人が政治にもっと向き合えば、混乱はなかったのではと受け止めている。
「1人の良き政治家より、多くの賢い有権者を育てていくことの方が重要」。将来はさまざまな立場から事実を検証し、公正な情報を伝えるジャーナリストや研究者を目指す。
「政治において、こんな意見は駄目というルールはないはず。極端な見解も参考にして、そこから自分で考えればいい」
▽
「18歳選挙権」が導入されるのに伴い、同世代の真っさらな視線に政治はどう映っているのか。シリーズ「わけもんの1票」第3部「わたしと政治」では、それぞれの世界で、それぞれの生活を送りながら政治とかかわる等身大の姿を伝える。
【第3部・わたしと政治】(1)橋本康平さん(宮崎大宮高1年) | 2016年2月22日付 |
【第3部・わたしと政治】(2)平原萌さん(宮崎農業高3年) | 2016年2月23日付 |
【第3部・わたしと政治】(3)蛯原エミリーさん(日南高2年) | 2016年2月24日付 |
【第3部・わたしと政治】(4)下村光彦さん(宮崎市出身・沖縄の高校2年) | 2016年2月26日付 |
【第3部・わたしと政治】(5)村岡玲愛さん(小林高3年) | 2016年2月28日付 |
【第3部・わたしと政治】(6)今村優志さん(日南の洋菓子店店長) | 2016年2月29日付 |