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わけもんの一票
【第4部・わたしの思い】(1)岩切美波さん(宮崎大3年)
05月16日付
初の選挙権に「責任」

 予想を上回る反響だった。宮崎大憲法学ゼミが憲法記念日の3日、宮崎市・宮日会館で護憲、改憲派を交えて初開催した「てげあちぃ憲法討論会inMiyazaki」。予定の開場時間前から続々人が集まり、約250席はほぼ満席に。憲法改正論議への関心の高さをうかがわせたが、ゼミ生の岩切美波さん(20)=教育文化学部3年=は心の奥で悔しさを抱いた。「思った以上に若い人が少ない」

 来場者はほとんど年配者。それぞれ社会経験を通じ、自分の主張を既に持っている人たちとの印象も受けた。

 ゼミの先生の言葉を借りれば、改憲は巨大な船がゆっくりとかじを切ることに似ている。すぐには変化に気付かなくとも進む方向、到着点は確実に変わる。だからこそ「これからを生きる私たち若者が時代の変化に対応し、今の憲法の何を大切に守るか、何を変え、盛り込むべきかを考える責任がある。人ごとにしてはいけない」と考えている。

 ただ、わが身を振り返ってもゼミ生以外との会話で憲法が話題になることはなく、関心が低いのが正直なところ。これまでになく改憲の動きが現実味を増す政治情勢下にあっても、一般の若い人は「また何か言っている」くらいの受け止めにとどまるのではないか。「自分は関係ない」と避けている部分がある-との感覚もある。

 迫る参院選では改憲の是非が争点に浮かぶ。「憲法に注目が集まり、国民が深く考えるきっかけになる」と岩切さん。インターネットなどにあふれる情報には「護憲、改憲派が文句を言い合い、何が本当か分からない」と思うものが多いし、9条などをめぐって平行線をたどる議論が「ふわふわした立場の人」にとってのハードルとなっているようにも映る。「環境権やプライバシー権などの新しい人権、同性婚など国民がイメージしやすい問題も積極的に取り上げてほしい」と思う。

 大学で憲法と向き合い、主権者意識を高めてきた。高校時代、受験で暗記対象だった「政治経済」は、当時遠かったが今はすごく身近で「最終的に政治を決定するのは私たち。一人一人が考える必要がある」。憲法が保障する参政権、1票の意義を強く意識できるようになった。

 参院選で新有権者となる18歳と同様、初めて選挙権を得る岩切さん。「もちろん投票に行く。自民党の憲法改正草案などをもう一度見直し、自分で判断し1票を投じたい」

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 夏の参院選に向け、シリーズ「わけもんの1票」第4部「#わたしの思い」では国政に通じる課題に県内の若者たちがどう向き合っているのかリポートする。



【第4部・わたしの思い】(1)岩切美波さん(宮崎大3年)2016年5月16日付
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【第4部・わたしの思い】(5)齊藤萌子さん(都農町川北)2016年5月20日付
[写真]ゼミで憲法を学ぶ宮崎大教育文化学部の岩切美波さん=宮崎大