有権者の自覚高める
18歳選挙権が適用される参院選は22日の公示まであと1週間を切った。新有権者となる県内の18、19歳をはじめとする若者たちはどのように迎えようとしているのか。シリーズ「わけもんの1票」の第5部「いよいよ本番」で紹介する。そこからは自覚の高まりが感じられる。
投票日は7月6日。参加するのは3年生全員-。
高鍋町の高鍋高(児玉康裕校長)で15日あった主権者教育の授業。参院選期間中に模擬選挙を行うと発表された。模擬とはいえ、実際の宮崎選挙区(改選数1)の立候補者名を記入して1票を投じる。生徒たちの表情に責任感と不安の色が交ざった。
参院選で投票できるのは投票日翌日に18歳の誕生日を迎える人まで。同校では3年生268人の3分の1程度だが、来年早々の西都市長選や高鍋町長選では多くが選挙権を得る。主権者意識の醸成が急がれる中、模擬選挙では1票の重みや有権者の自覚を感じ取ってもらう。
生徒には選挙公報を配るが、メディアなどほかの情報には自ら接する。同校の主権者教育推進リーダー、河野彰教諭は「選挙や政治、社会への関心を高める上で効果は大きい」と話す。
「投票の判断材料をいかに集めて活用するか。自分なりに考えて本番に生かしたい」。今月18歳になる中武灯(あかり)さんは前を向いた。
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高鍋高を含め、県選管の5月下旬の呼び掛けに応じ、マニュアルに沿って模擬選挙を行うのは県立・私立高、特別支援学校の18校。全学年で取り組む学校もある。公選法で人気投票の結果公表が禁止されているため、参院選の開票日以降、県選管からの知らせを待って開票する。
一方、49校が応じられなかった。年間行事との調整の難しさや準備期間の短さが壁となった。県選管は今後、知事選や衆院選に対応したマニュアルも作成する方針で「早い時期に実施を呼び掛ける」としている。
県教委によると、県立学校は本年度、市町村議会の見学や、議会への請願書を練る模擬請願を計画するなど、模擬選挙以外にも主権者教育の実践的な活動を進める。
宮崎市の宮崎工業高(竹下弘一郎校長)では7日、選挙違反の講演会があった。「選挙運動は電子メールなどツールに応じた制限があり、高校生という範囲で政治に参加してほしい」。宮崎産業経営大の宮田浩史教授は呼び掛けた。
参院選で選挙権を得る3年の鮫島潤也さんは意識を強めた。「制限やルールが多く不安もあるが、しっかり守る。責任を持って投票したい」