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わけもんの一票
【第5部・いよいよ本番】(3)啓発
06月20日付
政治との距離縮める

 18日夜、国富町役場の会議室に地元の新有権者となる18、19歳11人が集まった。参院選を前に町選挙管理委員会が主催した研修会の場で、若者の関心を呼び起こそうと仕掛けたのが宮崎公立大の選挙啓発サークル「ライツ」(遠山大樹部長、13人)。

 メンバー3人が候補者役となり、宮崎の活性化をテーマにそれぞれ「交通アクセス向上による観光地づくり」「経済特区による企業誘致」「子育て給付金の支援策」といった自作の公約を演説。新有権者が自らの生活に置き換えて是非を議論、模擬投票もした。

 「政治は別世界のものではなく身近な問題として考え、将来を担う私たちの1票に大きな意味があることを伝えたかった」。そう語るメンバーたちは講義やアルバイト、就職活動の合間を縫ってアイデアを練ってきた。

 4月に発足。「いつまで無関心層と言われ続けるのか」と挑戦的なフレーズを取り入れたポスターを学内に掲示した。根底にあるのは、選挙権年齢引き下げに至るまでの国会議論で「18歳は政治的判断に乏しく投票しない」とひとくくりに若者を未熟とみなしたことへの抵抗感。

 遠山部長(20)は「若者に対する不名誉なレッテルを返上したい。年齢を引き下げてよかったと思えるように投票率を高めたい」と意気込む。選挙公報を差し込める三角柱の「卓上POP」を宮崎市選管と製作、参院選に合わせて大学など計9カ所に約150個を設置。学内外で投票を呼び掛ける。

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 「18歳選挙権元年」と位置付け、盛り上げようと存在感を増す学生グループ。宮崎産業経営大の学生中心の「エムライボ」(中川順太代表、16人)は今月末をめどに同市内の4~5高校の昼食時にメンバーが訪ね、選挙啓発につなげる出前放送を始める。

 同大学で5月にあったシンポジウム「わけもん政治を変える」で参加した高校生からの提案を実現させた。「高校生に向けて仕掛けるには、高校生のアイデアを生かすことが近道」と中川代表(21)。

 メンバーが同大学に週1日集まる昼休みミーティングでは、出前放送のシナリオ作りで笑いが起きたり、弁当を食べながら突拍子もない発想で新たな活動を考案したり、選挙という堅いテーマを自由な雰囲気で楽しさに変えている。

 「楽しい時間の延長で政治への関心につながればいい。知らないから興味がない、関心がない若者もいる。気付くきっかけを用意できれば投票に目が向くのではないか」。独自の感性、型にはまらない行動力が、政治と若者との距離を縮められるはず-と中川代表は信じている。
[写真]国富町の18、19歳の若者向けの選挙研修会を企画した宮崎公立大の選挙啓発サークル「ライツ」のメンバー=18日夜、国富町役場