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わけもんの一票
【第5部・いよいよ本番】(5)選択
06月22日付
理解度に差 対応模索

 宮崎市内の私立高3年の女子生徒は今月上旬、夢の実現へ向け、市内であった合同企業説明会に足を運んだ。

 「小さいころから友達の髪をアレンジするのが好きで、中学生の時に美容師になりたいと思った。美容室への就職に向け、きょうは具体的な話が聞けた」。言葉に未来への希望があふれる。

 18歳。自分にも選挙権が与えられることは学校で聞き、知っている。

 「でも今は就職が一番の悩み。今は学校でも、家でも選挙の話になることもない。正直あまりぴんとこない」。投開票日がいつか。女子生徒は申し訳なさそうに「知らない」と答えた。

 県内の別の私立高では、参院選の投開票日が7月10日に決まってから、翌11日までに誕生日を迎えて選挙人名簿に登録され、新有権者になる生徒数を確認した。これまで主権者教育に力を入れており、その効果に期待している。

 ただ、「せっかく権利を得たから、1票を投じたい」と思いながらも、できないかもと心配している男子生徒もいる。その日は部活の大会へ向けてみっちりと練習している予定だからだ。「集大成なので集中して臨みたい」と葛藤する。

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 昨年、県内の農業法人に就職し、大規模経営を学んでいる19歳の男性は、実家も近くのコメ農家。

 農業関係者でつくる県内最大の政治団体、県農民連盟が宮崎選挙区(改選数1)で自民党からの立候補予定者を推薦していることは「何となく知っている」が、「支持すればいいのか正直分からない」と本音を漏らす。

 「TPP(環太平洋連携協定)の大筋合意のときは自民党にあんなに怒っていたのに」と、“大人の世界”がのみ込めずにいる。

 宮崎市の建設会社大和開発。参院選で投票権を得る10代の男性社員2人は政治との距離を測りかねている。

 1年目の橋口文也さん(18)は、参院選には行ってみたいと思いながらも「クリーンな政治家がいいとは思うが、現場の先輩とも政治の話はしない。今やるべきは何より仕事を覚えることが優先」と言う。

 2年目の大野晃輔さん(19)も「18歳選挙権という言葉は知っているが、選挙を身近に感じない。政治家は使う言葉が難しいから」と苦い顔。

 ただ、「税金を納めるようになって、使われ方が気になりだした。自分の1票で世の中が変わるのか、試してみたい」。投票には行ってみようと決めている。

=おわり=
[写真]学校前に据え付けられた候補者のポスター用の掲示板。投票をめぐり葛藤もみられる=17日午後、宮崎市内