県庁5号館から見つかった「定礎箱」(手前下)や、中にあった硬貨(同上)=6日午後、県文書センター
“タイムカプセル”から貴重な史料-。曳家(ひきや)工事が進められている県庁5号館(宮崎市)の建物内から、1926(大正15)年の建築時に埋め込まれた木製の箱が見つかった。工事の安全や建物の完成を願ったとされる「定礎箱」で、昨年11月に91年ぶりに開封したところ、当時の新聞や硬貨などが入っていた。県は7日から県文書センターで公開する。3月末まで。
定礎箱が見つかったのは、曳家工事の準備をしていた昨年9月。「定礎」という文字が刻まれた外壁の奥に埋め込まれていた。箱は縦23センチ、横29センチ、高さ9センチの桐(きり)製で、中には定礎を記念する銀でできたプレートや、定礎式があったことを伝える26年4月8日付の日州新聞(宮崎日日新聞の前身の一つ)、当時の硬貨7枚が出てきた。
同センター運営嘱託員の黒岩正文さん(73)は「いずれも当時の様子を伝える貴重な史料。県庁5号館が歴史ある建物であることをあらためて感じる」と話している。
5号館は旧宮崎農工銀行社屋として建設された貴重な近代建築。県がその後取得し、県文書センターとして使用。これまであった場所に県防災拠点庁舎が新築されることになり、歴史的な価値があるため、建物ごと移す曳家工事を行うことになった。昨年11月に開始し、移動距離約70メートルのうち残り5メートルとなっている。
定礎箱と中に入っていた史料は7日から同センター1階で展示する(土日祝日除く、午前9時~午後5時)。観覧無料。