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亡き父思い胸に活躍誓う 日南振徳バレー部3年 甲斐優斗選手

2022年1月4日掲載

日南振徳高男子バレー部エースの甲斐優斗選手(右)。急逝した父・晃宏さんに、春高活躍を誓う=昨年11月、県体育館

 天国に勝利を届ける-。日南振徳高男子バレーボール部3年のエースアタッカー甲斐優斗(まさと)選手(18)は、熱い思いで全日本高校選手権(春高バレー・東京で5日開幕)に挑む。バレーを教えてくれた父晃宏さんは約1年半前、48歳で急逝。晃宏さんが最後の力を振り絞って発した「頑張れ」を胸に、全力プレーを貫く。

 晃宏さんは延岡工高卒業後、9人制バレーの実業団選手として活躍。引退後は小学生の延岡南クラブや、ママさんバレーを指導した。専修大でプレーする長男・孝太郎選手(20)、次男・優斗選手をともに小学2年から教え、延岡工時代の恩師である日南振徳高の鍋倉雄次郎監督(63)に兄弟を預けた。

 2019年秋、大腸がんが発覚。手術し、回復していた容体は20年6月に急変した。「危篤」の電話を受けた鍋倉監督が2人を連れて日南市から病院に駆け付けると、晃宏さんは意識を取り戻したという。孝太郎選手に「甲斐家を頼む」と告げ、優斗選手には「頑張れ」。この言葉を最後に息を引き取った。

 「病気が治ったら、みんなで旅行をしよう」。バレーには厳しかったものの、家族思いだった晃宏さん。突然の別れに優斗選手のショックは大きかったが、バレーが大好きだった父に成長した姿を見せようと、気持ちを切り替えた。「活躍することで、悲しい思いをしている母や祖母を喜ばせたい」と努力を続けてきた。

 約半年間、成長期の膝痛に苦しんだが、体育館の隅で黙々と筋力トレーニングに励んだ。その成果もあって、身長2メートルの大型アタッカーは全国クラスに成長。昨夏の全国総体で次々と得点を決め、初出場チームを5位に導いた。

 一緒にバレー用具を買いに行ったこと、試合のビデオを見てアドバイスをもらったこと…。「試合が近づくと、父を思い出すことがある」としみじみ。習ったことをすべて、集大成の「春高」にぶつける。「必ず天国から応援してくれる。日本一になる姿を見てもらいたい」と力強く語った。