『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』1巻書影
「第48回講談社漫画賞」の選評が、講談社の公式サイトで掲載され、審査員による『ちいかわ』に対しての評価がネット上で話題となっている。
【画像】『ちいかわ』評価に困惑…漫画家たちの赤裸々なコメント全文
同漫画賞は、日本の漫画の質的向上をはかり、その発展に寄与するため、昭和52年から「講談社漫画賞」を設立。今年は少年部門に『葬送のフリーレン』(週刊少年サンデー)、少女部門に『きみの横顔を見ていた』(別冊フレンド)、総合部門に『メダリスト』(アフタヌーン)が選ばれた。
総合部門のノミネート作品は『【推しの子】』、『ダーウィン事変』、『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』、『ながたんと青と―いちかの料理帖―』、『望郷太郎』、『メダリスト』。選考委員は安藤なつみ・海野つなみ・小川悦司・久米田康治・はやみねかおる・三田紀房・幸村誠が務めた。
ネット上で話題となっているのは、『ちいかわ』に対しての審査員の評価。『さよなら絶望先生』『かくしごと』などで知られる漫画家・久米田康治は「問題の総合部門。誰だよ『ちいかわ』交ぜたの……」とコメント。
「どうやって『ちいかわ』と『ダーウィン事変』比べればいいのか教えて欲しい。人類はそんな「物差し」持ち合わせてないのです。良いとか悪いとかじゃなく「スパゲティ」と「自転車」比べるようなもんだと困惑する先生もいました」と『ちいかわ』とほかノミネート作品の内容が違いすぎるため評価に困惑したと打ち明けた。
「さらに、これは「漫画」という枠でいいのか、「哲学」なのではないか、など混乱する一幕もありました。なので、申し訳ないのですが『ちいかわ』は殿堂入りということで、他5作品で選考することになりました」と告白した。
「結果『メダリスト』が選ばれましたが、どの作品が獲ってもおかしくないハイレベルで次元の違う(色んな意味で)争いでした。個人的には『ダーウィン事変』が選ばれて欲しかったです。他の作品がドラマやアニメやグッズになって報われてる中、作中で兄弟が登場し、僕の中で「シーズン2」が始まってるのに、ネットフリックスでドラマ化はまだなのかと催促する意味も込めて」と持論。
「あと『望郷太郎』は、本当に読みやすいなと感心しました。昨今イラストのようなカロリー高い絵の漫画が多い中、同じ「濃い絵」なのにゴチャゴチャせず見やすく、状況もわかりやすい。「漫画は、漫画なんだよ」と漫画の本質を教えられた気がしました。漫画が上手いって、こういうのを言うんだろうなって」。
最後に「毎年のことなのですが、審査のため短時間で大量の漫画を読んだため、脳が疲れきってしまいました。ストレス解消する必要があると思います。『ちいかわ』でも読んで」と、最後は『ちいかわ』で癒されたいと伝えた。
『ヴィンランド・サガ』で知られる幸村誠も「『ちいかわ』については、私は好きですが、独特なスタイルのため他の総合部門作品との比較が難しく、そのような作品のために賞を新設してはどうかという意見もありました」とコメントしている。
これにネット上では「すごく熱量が伝わってきていいな いい選評だ」「講談社漫画賞、とにかくいろんな先生がちいかわの扱いに困っていたことがわかる。やっぱここはナガノ賞作ってナガノ先生を審査員にするしかない」「ちいかわ、扱いに困られてて笑いました。好きだよ…!」「『ちいかわ』は哲学。間違いない」「みんなちいかわの扱いに戸惑っててわろた」「第47回講談社漫画賞で審査員の方々がちいかわを持て余してるのがすごい面白いし、”総合”部門なのに収まらないからちいかわみたいな作品用に賞を新設してはどうかって意見が出てるのヤバい」などと反応している。
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