東京都立西高等学校で行われた映画『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』特別授業の模様
フリーアナウンサーの藤井貴彦が19日、東京都立西高等学校で映画『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』(21日公開)特別授業を行った。
【画像】スーツを着てビシッと!東京都立西高等学校で行われた特別授業に登壇した藤井貴彦アナ
同高の生徒21人が参加したこの日の特別授業では「戦争を直接知らない私たちが考える平和の尊さ」「現代におけるメディアの役割」「いま、そしてこれからに向けて、なにができるか」という3つのテーマを軸に、本作を多角的に検証・分析した。
冒頭に映画の感想を生徒たちに尋ねた藤井アナ。生徒のひとりから「ニコラスが自分のことを『普通の人』だとしきりに言っていたことが印象に残った」という声があがると「ニコラスは普通の人でも、行動を起こすことで大きな影響を人々に与えられることを示してくれた。そして彼はずっと、助けた669人のことではなく助けられなかった多くの命に囚われ後悔し続けていたけれど、それはまさに普通の人だから。普通の人間でなければ『669人を救った!すごいだろ!』と成功にばかり意識が向いていたかもしれないけれど、ニコラスは真面目な人で、普通の感覚を持っていたからこそこんな偉業を達成することができたのかもしれない」とうなずいた。
メディアが大きな役割を果たす様子が描かれる本作にちなみ、メディアの役割についても話が及んだ。テレビや新聞ではなくネットやSNSを情報源にする昨今の傾向について藤井アナは「スマホで見る映像や音声はその人の傾向から勝手に選ばれて流れてくるものが多い。自分で検索して見たもの、その履歴からアルゴリズムで流れてくる類似した映像や画像が自分のメディアに対する視野を狭めていることを忘れないで欲しい」と呼びかけ。
「昨今、陰謀論を信用する人が多くなったのも、自分が信じている人からもたらされた情報しか信用しなくなっているからです」と警鐘を鳴らし、「私たちテレビやラジオは皆さんに選択肢を提供するのが役目。正解を教えているわけではなく、さまざまな意見を提示しています。スマホの一画面ばかりではなく、テレビや新聞を見ることによって、自分が今まで知らなかった意見や情報を知る発見がある。若い皆さんは情報を誰よりも多く手にしているかもしれないけれど、質の高い選択肢と情報を手にしているのか?ツールに利用されるのではなく、ツールを上手く使ってほしい。それが、戦争が起こらないよう我々ができる小さな抵抗であると思っています」と思いを語った。
生徒から「情報が多すぎて惑わされてしまうことがある」という声が上がると「時にメディアが『マスゴミ』などと揶揄されることもありますよね。テレビは政府からの意見を言わされているだけに過ぎないと言う人もいます。しかし我々メディアの役割は、事実を伝え、こんな意見もあるという選択肢を提示するだけです。私は日本テレビの報道で30年程働いてきましたが、それぞれ自浄作用を持って、そこだけは揺らぎがないように真摯に取り組んでいます。誰かに言わされて伝えるなどの緩くだらしない根性で記事を書いている人はいません。みんなにとっていい選択肢を出すという約束を果たしているのがメディアです」などと熱く語った。
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