「第26回上海国際映画祭」で映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』のワールドプレミアを見届けた吉沢亮
俳優の吉沢亮が、主演した映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』を携え、中国・上海で開催された「第26回上海国際映画祭」(6月14日~23日)に参加。ワールドプレミア上映が行われた21日、現地で俳優デビュー15周年を迎えた祝福を受け、「すごくうれしい。喜びをかみしめております。(中国語で)謝謝!」と喜びを語った。
【画像】レッドカートや記者会見など、そのほかの現地写真
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、同映画祭のコンペティション部門に正式出品。期間中、計3回(約1200席)の正式上映がチケット発売とともに即日完売するほど現地でも注目されていた。
21日、Shanghai Film Art Centerにて行われたワールドプレミアには、吉沢、呉美保監督、山国秀幸プロデューサーが立ち会い、満員の観客とともに鑑賞した。上映終了後、舞台あいさつに登壇した呉監督と吉沢が、それぞれ「ニーハオ」とあいさつし、中国語で名前を名乗ると、大きな歓声が上がった。続いて司会者が「吉沢亮さん、デビュー15周年おめでとうございます!」と切り出すと、客席からも大きな拍手と祝福の歓声が沸き起こった。
映画祭参加の感想を聞かれた吉沢は「個人的な話で申し訳ないんですけど、僕がアクター(俳優)を始めて15周年ということで、そんな記念すべき日に、こうやってたくさんの方に、この中国という場所で、みなさんとお会いできて、こうやって温かく迎えていただいて、本当に幸せな日」と笑顔を見せていた。
本作は、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大氏による自伝的エッセイ『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』(幻冬舎)が原作。
吉沢は、耳のきこえない両親の元で育ち、“きこえる世界”と“きこえない世界”を行き来する主人公・五十嵐大を演じた。ろう者の両親、母・明子役に忍足亜希子、父・陽介役に今井彰人、ろう者俳優として活躍する2人が起用されている。
呉監督は、アカデミー賞作品賞に輝いた映画『Coda コーダ あいのうた』からの影響について「私も『Coda コーダ あいのうた』(以下『コーダ』)が大好きで、何度か鑑賞させていただいているんですけれども、この『ぼくが生きてる、ふたつの世界』に関しては、『コーダ』が日本で公開する前に企画を始めているんですね。そして、『コーダ』が公開されて、タイミング的にも、、勉強になることがたくさんありました。そのひとつとしては、、ろう者の役を本当のろう者の俳優さんにやっていただくということが、すでにされていたので、これはアジアという場所でも、ぜひとも実践をしたいなと思いました」と話した。
そして、コーダという難しい役どころを演じた吉沢は、出演を決めた経緯について「呉監督の過去の作品が大好きで、いつか、呉監督とご一緒したいなとずっと長年思っていました。今回お話をいただいて、ものすごくチャレンジングな役ではあるなとは思いつつ、その演じている役の状況だったり、まわりの環境はとても特殊ではあるんですけど、この作品で描いているのは、ものすごく普遍的な親子の関係というか、反抗期的なものであったり、でもその中に垣間見れる親子の愛みたいなことが、とても愛おしく感じられて。すばらしい作品だなと思ったので、ぜひやらせてくださいと受けさせていただきました」と答えた。
舞台あいさつの後半、観客とのQ&Aでは、続々と手が上がり、「自分が演じた役の中で一番気に入っている役はどれか」という吉沢への質問に「(『東京リベンジャーズ』で演じた)マイキーとか聞こえてきて、中国の方にも伝わっているんだなと、なんだかすごく勝手にうれしい気持ちになりました」と話した上で、「どの役もお話しをいただいて、すごく大好きだなと思ったからやらせていただいていますし、どれが一番っていうと、なかなか難しいです。全部好きですけど、でも本作の大という役は、今まで演じさせていただいた中でも、もちろん手話だったり、コーダっていう環境だったり、事前に準備しないといけないことがすごく多かった分、なんだか愛着があるといいますか、作品を含めて、“五十嵐大”は、すごく大好きな役だなと思います」と答えていた。
21日には記者会見も行い、手話に関する質問に、吉沢は「2ヶ月くらい前から、手話の練習はさせていただきました。その中でただせりふの手話を覚えればよいだけでなく、相手の言っていることをきいて、それに表情でリアクションしたり、手話の中でも例えば『大丈夫』ということも、表情にのせることによって疑問形になってくるとか、表情管理も手話の表現になるという点がすごく大変でした。演技の上手い下手以前に、ちゃんと会話が成立している、という空気感がこの作品にはどうしても必要だったので、どうやってみせていくか、僕がどれだけ手話を上達できていくかが大変ではありました」と回答。
呉監督は「手話を教えてくださる手話チームのプロの方たちが、みな驚くくらい吉沢さんのセンスがいいと言ってました。そして彼はあまり見せていないですが実はすごく努力をしてくれたのではないかと思います」と補足し、吉沢を称えていた。
翌22日のクロージングレッドカーペットには、吉沢、忍足、呉美保監督、山国プロデューサーが参加。吉沢は黒のタキシード、忍足は青のドレス姿で、吉沢が母・明子役の忍足をエスコートし、多くの報道陣に晴れやかな笑顔を見せていた。
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