杉田智和 撮影:上野留加
(C)ORICON NewS inc.
アニメ『鬼滅の刃』の新編『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』が、本日30日に最終回(第8話)を迎える。第7話では岩柱・悲鳴嶼行冥の過去にもスポットが当てられたが、そこでORICON NEWSは悲鳴嶼役の杉田智和にインタビューを実施。悲鳴嶼というキャラクターをどう捉え、何を意識して演じたのか聞いた。(撮影:上野留加/文:遠藤政樹/編集:櫻井偉明)
【画像】心が痛い…涙を流す悲鳴嶼さん 公開された『鬼滅の刃』名場面カットまとめ
■演じる側として受け取る側の感性を尊重 あえて見どころ提示しない演者の思い
――キャラクターを演じる上で、大切にされていることを教えてください。
【杉田】 悲鳴嶼さんと同じような立ち位置で、視聴者の方々の思いまで受け止め、受け取る側の感性を守れるよう、さりげなくいることが大事だと思っています。言葉にするまでもなく、その意識を持ってすでに行動で示していると思っています。
――収録現場の熱量が高かったそうですが、どのような雰囲気でしたか。
【杉田】 気負うことなく、誰かの感性を否定しない環境・現場であってほしいですし、実際にそんな空気は一切感じない良い現場でした。
――アフレコで印象に残った出来事があれば教えてください。
【杉田】 柱同士の会話は可能な限り掛け合いで録れたのがうれしかったですね。悲鳴嶼さんの過去、鬼を殴るシーンでは、収録時に「いろんなパターンを収録させてほしい」と言われたのが印象に残っています。収録するまでは、悲鳴嶼さんのような強者はそんなに声を張らず戦うのかなと思っていましたが、悲鳴嶼さんとしてはあの時は必死で、初めて自分の強さを自覚するシーンでもあったんだと気づいて、例えば思い切り声を張るなど、様々な想定をしながら収録しました。
■まとめ役を担った悲鳴嶼 役作りは「演じる人間としてもそれくらいの信頼がないといけない」
――改めて役作りで大事にしたポイントを聞かせてください。
【杉田】 人に不安に思っていたり焦っていたり、というのを悟られないようにすることです。柱が集まったとき「誰がまとめるのか?」となった際も自然と悲鳴嶼さんが進めていたので、演じる人間もそれくらいの信頼をおいてもらえるように演じました。
――「柱稽古編」の第1話では自然とまとめていましたよね。
【杉田】 自然にその立ち位置が決まるのは大事かなと思いました。全体を見渡さないと、誰かの考えがどこかに散ってしまう。場を自然に動かせるから悲鳴嶼さんがあの立場にいたのだと思います。
――「竈門炭治郎 立志編」での柱合会議の頃と比べて、悲鳴嶼として変わった部分、演者として変化したことはありますか。
【杉田】 不変であること、構え続けること、何があっても受け止められること。それらを考えるのであれば、何か変化しないこと、ブレないことが大事なのだと思って演じています。状況と、戦う相手側や仲間たちは変化していると思うので、それを受け入れつつも、地に足を付けなければなかなか進むことはできない。それを象徴する位置に(悲鳴嶼が)いればいいかなと思っています。
■悲鳴嶼の役作りは涙の意味を追求「その都度、意味が出てくる」
――悲鳴嶼さんならではの苦労や大変だった部分はありましたか?
【杉田】 ある程度事前に悲鳴嶼さんを演じるためのプランを用意していきますが、ディレクションをどう受け取り、どうまとめて、どう完成させるかは、演者の一人の芝居だけで成立しないと思っています。そこも大事にしています。
――無口だけど涙を流すなど情は感じられるキャラクターです。涙を流しているのに不動の声というかみ合わせはどう考えられていたのでしょうか。
【杉田】 気持ちの向いている先がどこにあるのか。何があって涙を流したのか。悲鳴嶼さんは「頭の中で何を考えているのだろう」「やっぱり鬼を滅することだよな」と思うんですよね。「昔、こんなことがあったからだし、同じ状況になってほしくないから稽古をつけないといけない」と思考を進めていくと、自然と悲鳴嶼さんのセリフになっていくと思います。セリフの、その都度、悲鳴嶼さんが涙を流している意味を考えています。無意味なセリフや何も考えないで言うセリフはないと思うので、しっかり芝居に込めました。
『柱稽古編』は、フジテレビでは毎週日曜午後11時15分から、TOKYO MXやBS11、群馬テレビ、とちぎテレビでは毎週土曜深夜0時から放送中。最終話となる6月30日(日)の第8話は、60分に拡大して放送予定。
■杉田智和プロフィール
10月11日生まれ、埼玉県出身。AGRS所属。主な出演作品は「銀魂」坂田銀時役、「ジョジョの奇妙な冒険」ジョセフ・ジョースター役、「ちいかわ」ポシェットの鎧さんなど。「RRR」コムラム・ビーム役<N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア>など、外画吹き替え・ナレーションなどでも幅広く活動中。
関連記事