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撮影前日に突如制作とん挫から27年…映画『箱男』完成に監督&キャストが万感の思い「本当に夢のよう」

07/08 19:24

映画『箱男』ジャパンプレミアに出席した(左から)石井岳龍監督、浅野忠信、永瀬正敏、白本彩奈、佐藤浩市
(C)ORICON NewS inc.

 俳優の永瀬正敏、浅野忠信、白本彩奈、佐藤浩市、石井岳龍監督が8日、都内で行われた映画『箱男』(8月23日公開)ジャパンプレミアに登壇し、27年越しに完成した同作への想いを語った。

【写真】ダンディー!かっこいい黒ハットを被って登場した佐藤浩市

 本作は、安部公房氏が1973年に発表した同名小説が原作。段ボール箱を頭からすっぽりかぶり、のぞき窓から世界を見つめる箱男という存在を通して、人間と現代社会のありようを照らし出す作品となっている。

 1997年に石井監督により映画の製作が決定したが、不運にもクランクイン前日に、撮影が突如とん挫、撮影クルーやキャストは失意のまま帰国することとなり、幻の企画となった。それから27年。奇しくも安部公房生誕100年にあたる2024年、主演に27年前と同じ永瀬を据え、ついに映画『箱男』を完成させた。

 ジャパンプレミアの舞台に立った永瀬は「今日は本当にうれしいです。ここまで27年かかりました」と喜びをかみしめ、石井監督も「本当に夢のよう。こんなに大勢のお客さんの前で(ジャパンプレミア)ができるということが、まだ箱の中で妄想をしてるんじゃないかという気分です」と万感の思いを語る。

 物語は、ダンボールを頭からすっぽりと被り、都市を徘徊し、覗き窓から一方的に世界を覗く「箱男」が存在する世界が舞台。カメラマンである“わたし”(永瀬)は、街で偶然目にした箱男に心を奪われ、自らもダンボールをかぶり、のぞき窓を開け、ついにその一歩を踏み出すことに。

 しかし、本物の「箱男」になる道は険しく、数々の試練と危険が襲いかかる。“わたし”をつけ狙い、「箱男」の存在を乗っ取ろうとするニセ医者(浅野)、すべてを操り「箱男」を完全犯罪に利用しようと企む軍医(佐藤)、“わたし”を誘惑する謎の女・葉子(白本)…。果たして“わたし”は本物の「箱男」になれるのか…というストーリー。

 永瀬は27年前のことを思い返し「あんまり経験したくないことが起こってしまいまして…。明日撮影が始まるというときに『映画がなくなりました』と聞いて。そのときの監督の後ろ姿はずっと忘れられないですね」と打ち明ける。

 そして当時の撮影直前、役作りで「ちょっとでも“箱男”を感じてたということで、ホテルの部屋で美術部さんに箱を一つ借りて、トイレとお風呂以外はその箱の中に入っていました(笑)」と明かした永瀬。「今回も同じことをしていました」といい、「撮影に入る前、家でずっと箱の中に入っていました(笑)」と27年前と同じ役作りをしたと明かしていた。

 「制作しないという選択肢は一度もなかった。必ず撮りたかった」という石井監督。最後には「私は映画館でしかできない体験ができる映画をつくりたい。みなさんには“箱男”になってもらい、闇の奥にいざなう体験の旅に出られると思います。よく分からないこともあるかと思いますが、この素晴らしい俳優さんたちがしっかり導いてくれるのでぜひ身をゆだねて体験していただければと思います。楽しんでください」と締めくくった。

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