ホーム オリコンニュース[映画・アニメ] 手塚治虫の娘として役目に葛藤 作品が読み継がれていく企画展開「何かを仕掛けていかなくては」 『火の鳥』展開催へ
[映画・アニメ]

手塚治虫の娘として役目に葛藤 作品が読み継がれていく企画展開「何かを仕掛けていかなくては」 『火の鳥』展開催へ

12/05 10:00

手塚治虫さんの娘・手塚るみ子氏
(C)ORICON NewS inc.

 手塚治虫さんの漫画『火の鳥』初の大型展覧会『手塚治虫「火の鳥」展-火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-』が、2025年3月7日~5月25日に東京シティビューにて開催されることが決定した。主要12編を紹介、800を超える総展示数で『火の鳥』を読み解いていく。

【写真】独特な髪色!『火の鳥』衣装で登場 手塚治虫さんの娘・手塚るみ子氏

 数々の名作を生みだした手塚治虫さんが、自らのライフワークと宣言した漫画『火の鳥』は、その血を飲んだものは永遠の命を得るという伝説の鳥“火の鳥”を追い求める人々の葛藤を描く一大傑作長編。

 過去と未来を交互に描きながら、「生と死」「輪廻転生」といった哲学的なテーマを縦横無尽に表現した本作の壮大な世界観は、今でも高い評価を受けている。同展は、30年以上の長きにわたって執筆された壮大な叙事詩を、雑誌「COM」からはじまった「黎明編」から「太陽編」までの主要12編を中心に読み解く。『火の鳥』の連載開始から70年が経過した今、生物学者・福岡伸一氏を道先案内人として、新たな生命論の視点から『火の鳥』の物語構造を読み解き、手塚治虫さんが生涯をかけて表現し続けた「生命とは何か」という問いの答えを探求する。

 同展の狙いは、動的平衡の視点から「火の鳥」の意味を読み解き、そして、手塚治虫が描くことを約束しながら果たせなかった物語の結末を想像していく。

 先日行われた記者会見では、手塚治虫さんの長女で、株式会社手塚プロダクション取締役の手塚るみ子氏が参加。今回の展覧会開催について「手塚治虫の娘として、いかに手塚治虫の作品を、どんな時代になっても新しい世代が出てきても読んでもらう、読み継がれていくために、何かを仕掛けていかなくてはいけないと思っています。手塚作品が誰にも読まれないまま崩壊していくのではなく、いろいろな方と協力して原作にはないものを生み出していくのは破壊行為になるのかも知れませんが、手塚作品の核の部分は変わらない。それが自分のライフワークになるのではないかと思っています」と説明した。

 また、『火の鳥』執筆の父・手塚治虫さんの様子について「『火の鳥』は手塚治虫そのものだと思っています。いろんな作品を書いておりますが、手塚治虫がいきいきと書いていることが伝わってきます。漫画と言うのは読者があってこそ。手塚治虫は常に読者と雑誌を意識して書いている部分があるのですが、『火の鳥』に関しては雑誌や読者を意識せず、自分が描きたいものを描いたところから始まっています。自由奔放に表現して、手塚治虫そのものがそこに現れていると感じています」と伝えた。

 ※手塚治虫さんの「塚」は旧字体が正式表記。

関連記事