「松山千春シンガーソングライターオーディション」で最優秀賞を受賞し、1月15日にデビューする小川哲央
2022年夏、松山千春が企画したシンガー・ソングライター発掘オーディションで、最優秀賞に輝いた小川哲央。受賞後に始まったラジオ番組『夜の喫茶室』(FM NACK5)の中で毎週1曲オリジナル曲を作りながら待つこと2年半。ついにデジタルシングル「スノードロップ」「シェリー」「橋戸公園」で1月15日に日本コロムビアよりデビューする。
【写真】「松山千春シンガーソングライターオーディション」で最優秀賞を受賞した小川哲央
このオーディションで選考にかかわった審査員の一人はこう語る。「彼には不思議な存在感があった。時代に惑わされないスタンスが体からにじみ出ていて、今どうのこうのということでなく、長くやりながら独自の世界を構築していける存在になりそうだと思った」
小川哲央はギター1本でじっくりと歌詞を聞いてもらうタイプ。確かに今の時代の趨勢には合わないかもしれない。でも、時代に迎合することなく歌手活動を続けている師匠の松山千春のように、小川哲央も時代に迎合せずに自分の音楽を追求し続けていくことは間違いない。
――デビューまで2年半かかりましたね。まずはデビューが決まったことへの感想をお聞かせください。
【小川】この2年半の間にいろいろな方にお世話になりました。まずは感謝をしたいです。また松山千春さんのオーディションに合格してから、FM NACK5で毎週新曲を弾き語りして100曲以上作りました。デビューに際しての表題曲「スノードロップ」もその期間に作った曲なので、やってきたことが報われた感じです(笑)。
――3曲それぞれについて解説していただけますか。
【小川】「スノードロップ」は春の訪れを知らせてくれるような小さな花で、希望の象徴や死の象徴とされています。曲中に登場する“君”が自ら花に姿を変え犠牲になることと引き換えに、世界に春がやってくるというファンタジー作品です。「シェリー」は、子どもの頃親友だった二人が大人になり離れ離れになる。でもあの頃の楽しかった思い出や二人で見た景色はいつまでも僕の心の中にあるんだという友情をテーマにした曲です。「橋戸公園」は松山千春さん主催のオーディションにエントリーした時に提出した曲で、高校時代に好きだった女の子へ向けたラブレター代わりに作りました(笑)。僕の地元・練馬区に実際にある公園で、夜の橋戸公園で「待っている君に自転車をこいで僕は会いに行く」という内容はすべて実話なんです。
――この3曲の中で思い入れが強いのは?
【小川】「スノードロップ」ですね。これが本当に自分が作りたい音楽なのだと心から思えるほど気に入っています。今回編曲をしていただいた坂本昌之さんにも弾き語りを聴いていただきました。そして今回の表題曲選びの際に、坂本さんからもこの曲を推していただいたので、とても光栄に思っています。
――小川さんが曲作りで大切にしていることは何ですか。
【小川】日本近代文学や宮沢賢治さん、谷川俊太郎さんなどの詩が大好きなので、言葉を大切にするよう心がけています。ギターを抱えながら、季節や人々や風景が言葉になる瞬間を待つのが僕のやり方ですね。
――松山千春さんは小川さんにとってどんな存在ですか。
【小川】中学の頃、フォークソングにはまりました。さだまさしさんのステージトークで松山千春さんに興味を持ち、松山千春さんの楽曲を隅々まで聞くようになりました。千春さんは師匠であり恩人です。曲作りで悩んだ時は千春さんからいただいた言葉に励まされています。
――目指すアーティスト像を教えてください。
【小川】今、この瞬間に自分が考えていること、悩んでいることを素直に歌っていけるアーティストになりたいと思っています。また、今回のジャケットの絵は自分で描きました。以前劇団に入っていたこともあります。興味や経験を活かしていろいろな表現の場で活動できるように頑張りたいと思っています。
――2025年はどんな年にしたいですか。
【小川】一人でも多くの方にこの3曲が届くようにいろいろな場所で歌っていければと思います。自分のラジオ番組(FM NACK5「小川哲央の夜の喫茶室」毎週火曜 26時40分~)の中では皆さんからの恋愛談、悩みごとなどからオリジナル曲を作る企画もやっています。僕に興味をもっていただけたらそちらも是非チェックをお願いします。
デビューシングルの3曲は僕のここまでの人生の集大成です。「橋戸公園」は高校時代、「シェリー」は大学時代、「スノードロップ」はオーディション後に、それぞれ作りました。その時々に悩んでいたことや考えていたことが凝縮されています。3曲聴き比べてもらい、小川哲央という人間を感じ取っていただければと思います。
文・垂石克哉
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