第26回宮日出版文化賞


第26回宮日出版文化賞の受賞作

 本県の出版文化向上を目的に、県内在住者による優れた作品を顕彰する第26回宮日出版文化賞(宮崎日日新聞社主催)の受賞作は、「ラストフライト 奥高千穂 隼・B-29墜落秘話」(工藤寛著、鉱脈社)▽「宮崎のきのこ」(黒木秀一著、同)▽「桜の木にのぼる人」(大口玲子著、短歌研究社)▽川の匂い(河合愀三著、鳥影社)の4作品に決まった。表彰式は3月18日午後3時から、宮崎市の宮日会館で開く。

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 昨年1年間の出版物の中で応募や推薦があった67点から、同賞事務局が候補作8点を事前に選定。選考委員長を務めた宮崎国際大の前田博教授をはじめ、宮田香子(木城えほんの郷ブックアドバイザー)、徳永孝一(県文化財保護指導委員)、福田裕幸(県立図書館長)の3氏と、大重好弘宮崎日日新聞社常務取締役編集局長が選考委員を務めた。選考理由は次の通り。

ラストフライト 奥高千穂 隼・B-29墜落秘話(工藤寛著、鉱脈社)

 30年余りにわたる粘り強い調査の集大成が、戦後70年という節目にまとまった。犠牲者を取り巻く家族の思いも丹念にすくい上げ、平和への思いを新たにさせられる。

宮崎のきのこ(黒木秀一著、鉱脈社)

 キノコについての図鑑は数多いが、学術一辺倒ではなく、民俗学的見地からもまとめられており、専門知識が少ない人も楽しめる。本県の自然の豊かさを再確認できる一冊。

桜の木にのぼる人(大口玲子著、短歌研究社)

 被災地・仙台市から移住した本県での生活を詠む。県内の地名を題材にした歌が多数収められ、長く暮らす人にはない新鮮な視点で本県の魅力を気づかせてくれる。

川の匂い(河合愀三著、鳥影社)

 著者にゆかりの土地を舞台に、自身や家族を描いたであろう私小説風の短編集。通底するテーマは明るくはないが、希望も織り込まれている。心情描写などに確かな力量が感じられた。