老舗に新風。さらに愛される店づくりを
2022年04月28日掲載
山野内 こすもさん
ヤママン呉服店 店長
昭和21年創業、都城市の中心地に建つ老舗『ヤママン呉服店』。同店は昨年10月、旧建物の向かいに新たな店舗を構えました。3代目で新店舗の店長を務める山野内さんは、着物や帯、紳士・婦人服などの衣料品を中心とした従来のラインナップに加え、 “レトロビンテージ”コーナーを設置。昭和40〜50年代当時の同店のストックを、地元アーティストと協働してブランディング・販売し、小学生から90代まで、幅広い世代の「ファッションを楽しみたい」というニーズに応えています。さらにそれだけでなく、店内の随所に隠された指定のアイテムを全て見つけたら割引くじが引ける“宝探し”のような企画や、みそやしょうゆなど、全国から業種を問わず『ヤママン』と名の付く商品を取り寄せて店頭に並べる企画など、これまでにない施策も打ち出します。「お客さまに喜んでいただくのはもちろんですが、“私たち自身が楽しむこと”もとても重要だと考えています。レトロコーナーを設けたのもそう、“好きだから”。だからこそお客さまにもお薦めできますし、次々と企画を生む意欲にもつながっています」。実際、同店スタッフはとても生き生きとした様子。それを見るとおのずと買い物が楽しくなります。
“人の魅力”を生かした発信
以前、大阪で人材派遣・イベント企画会社に勤めていた山野内さんは、30代で帰郷し、家業を継ぎました。現在は当時と比べて、仕事へのモチベーションがさらに上がったと言います。その理由の一つが、個性豊かなスタッフたち。ベテランだけでなく、中には20歳前後の若いスタッフもいます。「ヤママンの服が好き、と言って入ってくれた彼女たち。向上心が高く、若い世代ならではの発想も面白くて、一緒に働けてすごく楽しいです」と笑顔を浮かべます。公式SNSの投稿もおのおのの感性に委ねるなど、信頼も厚い様子。さらに、スタッフが好きな芸能人やアニメをまとめた手描きの「推しノート」を店内に配置するユニークな取り組みも。理由はやはり“楽しいから”、これに尽きるものの、一方で「当店のような小規模店では、いかにお客さまに『この人(スタッフ)がいるから、ここで買おう』と思っていただけるかが大切なんです」とも話す山野内さん。商品の魅力はもちろん、 “人の魅力” を十分に理解している山野内さんの工夫によって、同店はさらに地域で輝くお店へと成長していきそうです。