昨年12月のレッスン会で子どもを指導する大山志保=宮崎市・野村ゴルフ練習場
「困難を乗り越えたときに『自分に勝てた』と、さらに自信になる。」
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、スポーツの大会は東京五輪を筆頭に延期や中止が相次いでいる。先の見えない不安を抱えながらも、一刻も早い終息を願い努力を重ねる、本県ゆかりのプロや実業団選手らの思いに迫った。
日本女子プロゴルフツアーは、5月末に開催予定だった第13戦までの中止(19日現在)が決まった。2000年プロテストに合格し、通算18勝をマークしている宮崎市出身の大山志保は「何十年と続いてきた大会が思わぬ形で中止に追い込まれ、あらためてトーナメントを開催していただいているありがたさを感じている。終息して大会が開かれたときには、今まで以上に感謝の気持ちでプレーし、ファンや主催者に恩返ししていきたい」とコメントを寄せた。
昨年は賞金ランキング49位。全英オープンを制した渋野日向子ら若手が台頭する中、7年連続15度目のシードを死守した。42歳はシード選手の中で最年長となるが、向上心は尽きない。今オフ、2年前にけんしょう炎になった左手親指への負担を減らそうと、グリップをロングサムからショートサムに変更。長年培ったスイングが変わる抵抗感よりも「もう一度ゴルフ人生をやり直せる」という、進化を求める気持ちが上回った。
「常に自分の中に課題がある」。コロナ禍でもモチベーションは下がっていない。ランニングや自転車で下半身を鍛錬。日々、変化をつけたメニューをこなし「開幕戦」への準備を進めている。
06年は賞金女王に輝き、16年はリオデジャネイロ五輪に出場。長年トップ選手として活躍しているが、決して順風満帆ではなかった。09年に左肘を手術した後は1年近くクラブを握れず引退も考えた。その後も首や背中など幾多のけがに苦しんできたが、不屈の精神で乗り越えてきた。
「苦しくて、先が見えないときでも目標に向かってやり続けることが大切。もちろん、心が疲れることもあるが、困難を乗り越えたときに『自分に勝てた』と、さらに自信になる。このプロセスの積み重ねで成長していると感じる」。経験豊富なベテランはこれまで同様、プラス思考でレベルアップする。