日向学院高3年時の全国高校総体で活躍する李博(右上)=2008年8月、埼玉県所沢市民体育館
「自分との勝負に勝って」
新型コロナウイルス感染拡大で、目標にしていた大会が中止となった本県中高生を励ましたいと、日本代表で活躍するバレーボール男子の李博(29)=東レ、宮崎市出身=が電話取材に応じた。自らが挫折を乗り越えた経験などを踏まえ、エールを送ってくれた。
-25歳だった2016年から日本代表の主力として活躍するなど、どちらかといえば“遅咲き”といえます。経験から伝えたいことは。
毎日の積み重ねの大切さです。自分の持ち味でもあるサーブや速いクイック攻撃は、13年に入った東レで一から教えてもらったものです。何もできないところからスタートし、全体練習後の自主練習でたくさん打ち込みました。
右手首を骨折した18年の秋には、毎日のようにジャンプトレーニングした結果、最高到達点が5センチ伸びて3メートル50センチに。20代後半でも自己記録を更新し「やればできる」と痛感したものです。今年30歳となる今も「まだまだ成長する」と思って練習しています。
-前向きな姿勢の源は何ですか。
両親の存在や言葉が大きいです。父は陸上の三段跳び、母はバレーボールの元中国代表選手で、ともに五輪を目指していましたが、かないませんでした。その母からは「どんな結果になっても、毎日を全力で取り組めば後悔しない」と声を掛けられました。大きな目標を立てると、やっていくうちに現実とのギャップが生じ苦しくなることもあるので、昨日の自分を超えることを目標に、日々練習に取り組んでいます。
-中高生にメッセージを。
自分にとって、仲間とバレーに打ち込んだ高校3年間は青春そのもの。部活や集大成の大会に参加できなくなった皆さんのことを思うと、言葉が出てきません。チームメートと励まし合い、一生懸命取り組んできた選手ほど、悔しさは大きいはずです。切り替えるのは難しいと思いますが、これまでの努力は必ず今後の皆さんを支えてくれます。前を向いて頑張って、これからも自分との勝負に一つでも勝ってほしいと思います。スポーツも人生も、小さなことの積み重ねが自分は大切だと思っています。