2011年、秋田県で行われた全国高校総体決勝で果敢に得点を狙いにいくベンドラメ礼生選手。エースとしてチームを引っ張り、優勝を手にした
「『昨日よりも成長できた』と言えるよう、毎日を全力で取り組む」
福岡県出身。小学3年からバスケットに打ち込んだ。”バスケ王国”福岡の強豪高から声は掛からず、練習会に参加した延岡学園高に入学。そこでも厳しい現実に直面する。同級生のレベルが高く、8人のうち5人は1年の夏から先輩たちに交じってベンチ入り。一方で自分は、荷物番や記録係だった。
だが、反骨心は人一倍強かった。「試合に出るためには、人よりも頑張らないといけない」と、居残りや、休日練習に打ち込んだ。同級生の岩田大輝さん(27)=茨城県日立市=は「最初のころは体も細くて印象もあまりなかったが、早朝も5時くらいから練習して、努力しているなと思った」と振り返る。
「運動能力が高く、シュート力もあったが経験が足りなかった。真面目に取り組み、短期間でチームになじみ、一つ一つ才能を伸ばしていった」と話すのは、当時監督だった北郷純一郎さん(78)=えびの市大明司。身長2メートルの外国人留学生を相手にリング下に切り込む練習を重ね、突破力を磨いたベンドラメ選手は、1年秋ごろから一気に力を伸ばした。3年時にはエースとして「高校3冠」を達成。「メンバーに恵まれた。成長をしっかり感じ取ってくれた北郷監督にも支えられた」と話す。
2019年ワールドカップは最終選考で落選。高校1年の経験を思い返し、東京へ再スタートを切った。「高校の時も、腐らず前を向いて成長することを選んだ。『昨日よりも成長できた』と胸を張って言えるよう、毎日を全力で取り組む」。この精神が代表入りにつながった。
スペインを含め、1次リーグで対戦する3チームはすべて格上。「弱気にならず、全力で戦う。コロナ禍の中、感動を与えるプレーをしたい」と力を込める。
(2021年7月26日付紙面より)