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火山灰で干物作り 高原町で試み

2011年3月25日
 霧島連山・新燃岳(1421メートル)の降灰被害が続く高原町で、火山灰を干物作りに生かす「灰干し」の製品化に向けた試みが始まった。降灰被害に遭った三宅島で成功しており、同町内で開かれた灰干しの試食会でも評判は上々。復興に一役買うだけでなく、助言している専門家は「食害をもたらすイノシシやシカの肉と降灰という厄介物同士の組み合わせでおいしい干物ができる」として特産品化に期待している。

 灰干しは火山灰を敷き詰めた容器に、布と水分を通す半透膜(セロハン)で包んだ魚や肉を置き、その上から火山灰を載せ24時間乾燥させる製法。余分な水分を取り除き、うま味や油分を閉じ込めるため上質な干物ができるという。手作業で手間はかかるが、高級干物として全国で取引されている。

 火山灰を使った地域おこしを研究対象にしている東京・大妻女子大学大学院の干川剛史教授が、新燃岳の本格噴火後に高原町を訪問。三宅島の火山灰で灰干し加工した魚介類が人気を集めていることから、新燃岳の降灰も同様に有効活用できないか、地元と情報交換してきた。

 この話に興味を持ったのは高原町のNPO法人・たかはるハートム(谷山天一代表)のメンバー。23日に新燃岳の降灰で灰干しした鶏肉、豚肉を食べ「柔らかくてうまみが凝縮している」「肉の臭みもない」と好評だった。

 その場には製品化を検討している地元の男性(50)も訪れ、実際に灰干しの仕込み方を見学。「うまくいけば特産品になる。噴火で打撃を受けた地域の活性化につながればいい」と話していた。

 干川教授は「全国に発信するいいチャンス。灰干しが産業になれば雇用も生まれる。今後も支援を続けていきたい」と期待を寄せていた。たかはるハートムは27日に町総合保健福祉センター「ほほえみ館」で開く東日本大震災のチャリティーイベントで町民向けの試食会も実施する予定。

【写真】干川教授(右)の助言で灰干しを仕込む地元住民ら