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土石流を初確認 高千穂峰の南側斜面

2011年3月8日
 国土交通省九州地方整備局と土木研究所(茨城県)は7日、噴火が続く霧島連山・新燃岳(1421メートル)南東にある高千穂峰(1574メートル)南側斜面で、ごく小規模の土石流の痕跡を確認したと発表した。土石流の確認は、一連の噴火活動が始まってから初めて。

 同整備局が2月18日に行ったヘリコプター調査で、高千穂峰山頂付近に黒い筋があったことから、同研究所の職員2人が3月3日に現地調査した。新燃岳火口から南東に約5キロ離れた都城市・荒川内川上流(標高約千メートル)で、長さ数百メートル以上、幅5メートル以上、厚さ数十センチの土石流を確認。このほか、水や土砂が流れた幅数十センチの跡が多数見られたという。現場は火口に最も近い民家から数キロ離れており、被害は確認されていない。

 土砂には火山灰が多く含まれており、同研究所火山・土石流チームの山越隆雄主任研究員は「斜面に降り積もった降灰による土石流だろう」と指摘。土石流は2月18日以前の雨で発生した可能性が高いという。

 同研究所によると、高千穂峰の標高千メートル付近には火山灰が10センチ以上堆積。さらに土石流が発生しやすい状況にあることを示す、雨水による溝も多数確認されたことから、山越主任研究員は「標高千メートル付近では同じ規模の土石流が複数発生している可能性がある」と話している。

【写真】新燃岳の一連の噴火後、初めて確認された土石流の痕跡=高千穂峰南側斜面(土木研究所提供)