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急ピッチで土石除去 高原、都城の砂防、治山ダム

2011年3月6日
 霧島連山・新燃岳(1421メートル)の降灰による土石流発生の可能性がある中、本県は3月中旬から4月にかけて「菜種梅雨」の時期を迎える。6月には雨量の多い梅雨も控えるため、新燃岳周辺では「現状では最善の土石流対策」とされる危険渓流の土石除去作業が急ピッチで進む。3日には国土交通省が高原町で予定していた箇所で作業が完了。関係者は「梅雨までになんとかめどをつけたい」としている。

 危険渓流を多く抱える都城市。宮崎地方気象台によると、2010年の雨量は6、7月の梅雨に続き、3、4月の雨量が多かった。4日に新たな避難勧告基準となった「1時間10ミリ以上」の降雨は3、4月に5回記録。6月は9回、7月は7回にも上る。

 国土交通省や林野庁が進める主な対策は、砂防、治山ダムの土石除去や土石流発生を知らせる監視カメラ取り付けなどがある。このうち、土石除去の効果について、宮崎大学農学部の清水収准教授(砂防学)は「現状において最善の策」と説明。清水准教授によると、砂防、治山ダムは土石で埋まっていても川の傾斜が緩やかになるため、土石流が流れる速度を遅くする効果があるが、今回のように土石を取り除けば、土石流の勢いを弱める効果が高まるという。

 清水准教授は「梅雨も近く、早急に対策が必要な今、長い期間かけて新たに砂防ダムを造るより効果が見込める」と話す。

 3日現在、国土交通省は高原町と都城市の5河川8カ所で工事を行い、4カ所の除石を完了。林野庁は都城市の2河川3カ所で作業中。3月末には同庁が昨年7月の洪水を受け事業を進めていた同市美川町の治山ダム2基、夏尾町の4基がほぼ完成。さらに6月中には同市に9基の治山ダムを建設する予定という。