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少雨でも土石流危険 新燃岳噴火3カ月、終息見通し立たず

2011年4月26日
 霧島連山・新燃岳(1421メートル)の降灰による土石流の懸念がある中、霧島火山防災連絡会・コアメンバー会議は25日、鹿児島県霧島市で開かれ、県が管理する土石流危険渓流の降灰量など調査結果を発表した。21渓流のうち、厚さ1センチ以上の灰が積もっていたのは19渓流。火山灰が雨にぬれて固まり、少量の雨で土石流の恐れがある渓流は4カ所だった。新燃岳の噴火活動が活発化して26日で3カ月。小康状態が続いているとはいえ、火山活動は終息の見通しが立たないまま、梅雨時期を迎える。県はあらためて土石流や泥流への警戒を呼び掛けている。

 会議では土石流対策の現状などが報告された。県によると、3月中旬から下旬にかけて、国土交通省宮崎河川国道事務所が示した土石流危険渓流35渓流のうち、県が管理する21渓流について、降灰の厚さや堆積量などを調査した。

 1センチ以上の灰が積もっていた19渓流のうち、上椎屋川が3・7センチと最も多かった。火山灰堆積量は山田川が最大で1万6千立方メートル。火山灰が雨にぬれて固まり、少量の雨で土石流が懸念される「モルタル化」が発生していた渓流は4渓流だった。

 土木研究所(茨城県つくば市)の火山・土石流チームの石塚忠範上席研究員は「全国では火山灰が1センチ以上積もった所で発生した事例がある。21渓流はそれ以上堆積した地点が多く、注意が必要。今回調査した渓流は火口から約10~20キロの範囲にあり、火口に近い所ではさらに積もっていると予想される」と指摘した。

 県砂防課は21渓流のうち4渓流で大型土のうを設置するなど緊急対策を実施。同事務所は都城市、高原町内の砂防ダム6カ所で土砂の撤去作業を完了し、現在も13カ所で工事を進めていると報告した。

 同会議で都城市は政府支援チームの指針を基に作成した土石流の避難計画の素案を初めて提示。避難準備情報や避難勧告の発令基準や伝達方法、対象世帯などを盛り込み、既存のマニュアルをほぼ踏襲した内容になっている。

 25日現在、新燃岳の噴火警戒レベルは3(入山規制)。2月上旬まで続いた大量の火山灰や噴石を伴う噴火活動は徐々に沈静化。鹿児島地方気象台によると、噴火回数は2月の10回から3月7回、4月3回(24日現在)へと減った。

 東京大学地震研究所の中田節也教授(火山地質学)は「噴火が間延びしており、1月下旬からの噴火のサイクルは終わりに向かっている。ただ地下のマグマだまりには噴火前と同じ割合でマグマの供給が続いており、再び大規模な噴火につながる恐れは否定できない」としている。


 新燃岳は25日、午後9時現在で噴火はなかった。福岡管区気象台によると、火山性地震は同3時現在、226回を記録した。