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「早く出荷したい」 終息遠のき関係者落胆

2011年3月6日
 門川町の養鶏場で5日、県内17日ぶりに鳥インフルエンザの発生が確認され、11日の県内清浄化を目前にして漂っていた終息ムードは一気に吹き飛んだ。同町では10例目の発生に伴う移動制限区域(半径5キロ)が1日に解除されたばかり。再び出荷が止められた農家は「鶏がますます弱る」と、新たな感染におびえることに。県内全域の清浄化は少なくとも28日以降にずれ込む見通しで、関係者は「いつまで続くのか」と疲労の色を濃くした。

 門川町役場には5日午後、町職員や延岡家畜保健衛生所の職員らが駆け付け、情報収集や殺処分の準備など対応に追われた。午後5時半からは安田修町長や幹部職員らが対策会議。安田町長は「終息すると思っていただけにショック。県全体に迷惑を掛けることになり言葉も出ない」と落胆の表情を見せていた。

 県畜産課は5日夕の会見で明らかにし、同課の岩崎充祐家畜防疫対策監が「まだ県内にウイルスがいるということを認識してほしい」と力を込めた。

 種鶏ふ卵業県内大手のアミューズ(日向市、赤木八寿夫社長)は、系列2農場が今回の移動制限区域(半径10キロ)に入る見込み。同社は1日から一部でひなの出荷が再開し、通常の出荷体制を整え始めていただけにショックを隠しきれない。赤木社長は「精神的なダメージが大きい。11日の終息に向けてカウントダウンしていたが、まだ終わっていなかった」と肩を落とした。

 移動制限区域に入る恐れのある日向市のブロイラー農家によると、待機農家は鶏の成長を抑えるため栄養の少ない餌を使用。また、鶏が成長すれば鶏舎内が箱詰め状態で環境が悪化し、鶏の抵抗力も低下しかねないという。

 男性の農場では現在、出荷適齢を4日ほど過ぎているが、今回の発生で出荷はさらに延期される可能性もある。「時間がたてばたつほど感染の危険性が高まるので、一刻も早く出荷したい。この状態がいつまで続くのか」と話した。

【写真】門川町での鳥インフルエンザ発生を受け、情報収集や殺処分の準備などに追われる町職員=5日午後、門川町役場