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鶏肉足りない 続く移動、搬出制限

2011年2月21日
 高病原性鳥インフルエンザの県内発生から1カ月が経過した。感染が多発、長期化し、地域も県央、県北部など広範囲にわたることで、多くの養鶏場や食鳥処理場が移動、搬出制限区域に含まれる状態が継続。その影響で県内では鶏肉の品薄状態が続いており、関係者は「今後も続発すれば、品不足や価格の上昇も避けられない」と危機感を強めている。

 県内で42店舗を展開するエーコープみやざき(宮崎市)では、鶏肉の入荷が例年の約8割にとどまる。仕入れの相場価格は、例年より約1割高で、特売セールができない状況。今後も発生が続けば、値上げも視野に入れなければならないという。

 同社生鮮日配課によると、系列店では発生当初から影響が出始め、多発時には入荷が通常の半分以下まで落ち、需要の高いもも肉などは品切れになる店もあった。同課精肉担当の黒木貴志さん(39)は「消費者に十分な量を届けられていない状態が続いている。(鳥インフルエンザが)早く終息して通常に戻ることを願うしかない」と話す。

 飲食店や小売店などに鶏肉を卸す宮崎市の業者は、食鳥処理場の稼働停止が相次いだことで、県産鶏肉の取扱量が7割以上減った。不足を補うため、県外産の鶏肉などを調達しているが、同社の管理職男性は「県外産は通常の入荷ルートより仲卸が増えるため仕入れ値が高い」と語る。

 当初、同社は利益を切り詰めて仕入れ値の上昇に対応していたが、移動制限解除の見通しが立たず、2月上旬に販売価格の値上げに踏み切った。男性は「価格が高いと販売量も減る。この状態が長く続くと厳しい」と苦しげだ。

 県北で冷凍の焼き鳥など加工品を生産する業者も、県産鶏肉の確保に頭を悩ませる。同社の従業員は「県産鶏肉は発生前の1~2割しか手に入らない。ブラジル産を使わざるを得ない」と明かす。

 影響は繁華街にも及ぶ。宮崎市の「ニシタチ」で23年間、焼き鳥店を経営する「くし満太郎」の外山近店長(63)によると、1羽から取れる量の少ない心臓(ハツ)や尾(ボンジリ)などが思うように確保できないという。外山店長は「4年前の鳥インフルエンザは発生が少なく、影響がなかった。この時期はキャンプシーズンの書き入れ時なので、風評被害を含め事態の長期化が一番心配」と険しい表情を見せる。

【写真】鳥インフルエンザの影響で食鳥処理場の稼働停止が相次ぎ、鶏肉卸業者は県産鶏肉の確保に頭を悩ませている=18日午前、宮崎市