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埋却地の確保困難 全国最大ブロイラー産地・都城

2011年2月10日
 もし都城で発生したら―。県内で発生が相次ぐ高病原性鳥インフルエンザ。自由に飛び回る野鳥がウイルスを媒介している可能性が高く、どこで発生するか予測がつかない状況が続いている。全国最大のブロイラー産地・都城市は山間部を利用した養鶏場が多く、養鶏農家からは「(発生しても)埋却地を確保できない」と不安の声が聞かれ、行政も抜本的な解決策を見いだせないでいる。

 県畜産統計などによると、都城市のブロイラーと採卵鶏の飼育羽数(2006年2月1日現在)は計約600万羽。中でもブロイラー生産が盛んで、市町村別産出額(06年)は約134億円と全国1位の規模を誇る。

 一方、宮崎市に次ぐ人口約17万人を抱え、県西部の中核都市という側面を持つ都城市。家畜と人の混在を避けようと、多くの農家は人が少ない山間部に養鶏場を構えるという。この養鶏場の立地条件が、鳥インフルエンザ発生の際、「迅速な殺処分の妨げになる」という懸念が養鶏農家の間で広がっている。

 同市など14カ所でブロイラー用ひなを生産する松野種鶏場(本社・三股町、松野広社長)の養鶏場も多くが山間部に立地。同社総務部の芦谷幸一課長は「いつ都城で発生してもおかしくないが、山間部の養鶏場は大量の鶏を埋める埋却地を確保できない。市内で多発したら、殺処分の対応が後手後手になる」と危機感を募らせる。

 山間部の養鶏場でブロイラーを飼育する60代女性も埋却地の自力確保は無理だと言い、「行政に頼むしかない」と話す。

 同市は、3日から養鶏場の立ち入り検査を実施。埋却地の確保状況を調べているが、市畜産課の柚木崎誠主幹は「集計中だが、約半数は山間部の養鶏場。これらは埋却地確保が厳しい状況」と明かす。しかし、発生に備えた埋却地の確保は「候補地を探す手伝いはしているが、あくまでも地権者への交渉は農家主体でやってもらうしかない」と述べるにとどまる。

 宮崎大農学部の末吉益雄准教授(家畜衛生学)は「殺処分が滞るとウイルスがどんどん増えて、口蹄疫同様に感染が横に広がる可能性がある。必要ならば養鶏場付近の山を切り開くなど、行政も農家も必死になって埋却地を確保してほしい」と求める。

【図表】都城市の養鶏規模

■飼育1羽が感染、400羽処分へ 山口の公園


 山口県は9日、同県宇部市の常盤公園の池で飼育しているコクチョウ1羽の死骸から高病原性鳥インフルエンザウイルスのH5型が確認され、同じ池で飼育しているハクチョウやコクチョウ、カモなど約400羽を殺処分すると発表した。

 同公園は市が管理。池の鳥は、家畜伝染病予防法に基づく殺処分や移動制限の対象ではないが、市はウイルスの型から強毒性の可能性が高く、公園内でほかに飼育するペリカンなど約70羽への感染拡大を防ぐためには殺処分が必要と判断した。

■野鳥5羽感染 大分

 大分県は9日、中津市耶馬渓町の耶馬渓ダムの水面や近くの駐車場で死んでいた野鳥のオシドリなど計4羽と、大分市横瀬のため池で衰弱していたオシドリ1羽の遺伝子検査の結果、高病原性鳥インフルエンザ感染が確認されたと発表した。今後、鳥取大で詳細検査し、強毒性かを調べる。