「養鶏続けられない」 農家、防疫対策も限界
2011年2月6日
高病原性鳥インフルエンザへの感染が疑われる鶏が5日、都農、門川町で見つかり、県内養鶏場での発生疑いはついに10例となった。県や市町村、農家などは懸命の防疫作業を続けるが、いまだ終息の兆しは見えない。防疫に重要な感染経路の解明も進まず、養鶏農家からは「このままでは養鶏を続けられない」との声も聞かれ始めた。
5日、県庁であった記者会見で県畜産課の岩崎充祐家畜防疫対策監は「短期間に多発しており、非常に厳しい状況。従来の方法で一つ一つ、つぶすしかない。あらためて農家には鶏舎内へのウイルス侵入対策をお願いしたい」と苦渋の表情を見せた。県は感染続発を受け、全養鶏場(100羽以上、約千戸)を対象に県の獣医師(家畜防疫員)らによる立ち入り調査を実施。死んだ鶏の数を毎日報告させるなど他県より細かい対策に取り組むが、決め手とはなっていない。
感染経路の特定が進まないことも、関係者の焦りに拍車を掛ける。農林水産省の疫学調査チームは6例目までの調査結果を公表したが、「防鳥ネットの隙間や穴」「壁の破損」「侵入防止用の金網などに隙間や破損、壁にはネズミなどの侵入が可能な穴」など野鳥や小動物がウイルスを運んだ可能性があることを列挙するにとどまる。
高鍋町でブロイラー約7万羽を飼育する50代男性は「感染経路を特定できない今の状態が続けば、来年以降も必ず出るだろう。このままでは経営を続けられない」と吐露。国などが発生原因の可能性として農場の不備を挙げていることについて「自分たちを含め、多くの農家は(防疫を)限界までやっている。行政には経路の解明以外にも根本的な野鳥対策をお願いしたい」と訴えた。
1日には、5例目(延岡市北川町)の養鶏場から50メートルしか離れていない川で感染が疑われるオシドリが確認された。宮崎大農学部の後藤義孝教授(獣医微生物学)は、野鳥の間では既に感染がまん延している可能性を指摘。「1月は雨が少ないので、特定の池などに野鳥が集まり、ウイルスが水中にたまっている恐れがある。水辺に集まるすべての動物への対策が必要。また川や池の水を養鶏場で使用する場合は消毒が必須」と、危機的な現状に警鐘を鳴らす。
【写真】発生養鶏場の地図を基に、埋却地への搬送経路や消毒ポイントなどを確認する都農町役場職員=5日午後、同町役場
5日、県庁であった記者会見で県畜産課の岩崎充祐家畜防疫対策監は「短期間に多発しており、非常に厳しい状況。従来の方法で一つ一つ、つぶすしかない。あらためて農家には鶏舎内へのウイルス侵入対策をお願いしたい」と苦渋の表情を見せた。県は感染続発を受け、全養鶏場(100羽以上、約千戸)を対象に県の獣医師(家畜防疫員)らによる立ち入り調査を実施。死んだ鶏の数を毎日報告させるなど他県より細かい対策に取り組むが、決め手とはなっていない。
感染経路の特定が進まないことも、関係者の焦りに拍車を掛ける。農林水産省の疫学調査チームは6例目までの調査結果を公表したが、「防鳥ネットの隙間や穴」「壁の破損」「侵入防止用の金網などに隙間や破損、壁にはネズミなどの侵入が可能な穴」など野鳥や小動物がウイルスを運んだ可能性があることを列挙するにとどまる。
高鍋町でブロイラー約7万羽を飼育する50代男性は「感染経路を特定できない今の状態が続けば、来年以降も必ず出るだろう。このままでは経営を続けられない」と吐露。国などが発生原因の可能性として農場の不備を挙げていることについて「自分たちを含め、多くの農家は(防疫を)限界までやっている。行政には経路の解明以外にも根本的な野鳥対策をお願いしたい」と訴えた。
1日には、5例目(延岡市北川町)の養鶏場から50メートルしか離れていない川で感染が疑われるオシドリが確認された。宮崎大農学部の後藤義孝教授(獣医微生物学)は、野鳥の間では既に感染がまん延している可能性を指摘。「1月は雨が少ないので、特定の池などに野鳥が集まり、ウイルスが水中にたまっている恐れがある。水辺に集まるすべての動物への対策が必要。また川や池の水を養鶏場で使用する場合は消毒が必須」と、危機的な現状に警鐘を鳴らす。
【写真】発生養鶏場の地図を基に、埋却地への搬送経路や消毒ポイントなどを確認する都農町役場職員=5日午後、同町役場