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野鳥捕食で感染か ウイルス運び屋指摘も

2011年2月5日
 西都市で見つかったハヤブサの死骸から簡易検査で鳥インフルエンザの陽性反応が2日確認された。県内では養鶏場での発生が相次いでいるが、野鳥の感染疑いは初めて。現在、鳥取大で詳しい検査が行われているが、以前から指摘されていた野鳥によるウイルス媒介の可能性が濃厚となった。専門家からは「宮崎の野鳥はかなりの割合でウイルスを保有している」と危惧する声も聞かれる。

 県総合博物館によると、ハヤブサは体長40~50センチ。渡り鳥と違い、同じ地域で1年を過ごすことが多いが、冬だけ本県など温暖な地域に飛来することがある。猛禽(もうきん)類で、ハトなどを捕食するため、川、海沿いに限らず街中でも見かける。

 同館学芸課の福島英樹主査は「一ツ瀬川でカモを襲っているハヤブサを見たことがある」と証言する。カモは感染しても症状が現れにくく、ウイルスの運び屋となる可能性が指摘されている。

 ハヤブサの感染疑いについて、京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長の大槻公一教授は「ウイルスを持った野鳥を捕食して、自分も感染したのではないか。(人間と異なり)鳥類は消化器内でウイルスが増える」と説明する。

 県自然環境課によると、昨年10月下旬から今月1日までに寄せられた死んだ野鳥の報告は179件(234羽)。159件(214羽)は簡易検査で陰性を確認し、20件(20羽)は検査不能か判定を待っている。内訳はカモ類73羽、カラス類46羽、サギ類35羽など。

 野鳥対策を所管する環境省は、国内に生息する野鳥600種のうち、感染リスクの高い野鳥33種を選定。一ツ瀬川や高原町の御池で渡り鳥の飛来状況を監視しているほか、2007年から宮崎市の加江田川河口ではふん便を採取し、ウイルス保有を調査している。先月下旬には県内発生を受けて新たに一ツ瀬川河口でも同じ調査を実施した。

 鳥インフルエンザが07年に本県で3例発生した際、熊本県では同じ猛禽類のクマタカからウイルスが検出された。当時、本県で感染経路の調査に携わった大槻教授は状況を比較し「汚染度合いはさらに高まっている可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 県は、県北など他の地域での追加調査や野鳥の捕獲調査を今後、国へ要請する方針。また鳥獣保護員による監視を強めており、当面は市町村職員による巡回強化を考えている。

 西都市で養鶏場を営む女性(65)は「ハヤブサのような鳥を養鶏場上空で見かけたことがある。自由に飛び回る野鳥の感染が一番怖い。ウイルス検出を待たずに何らかの対策を取ってほしい」と話す。

 検査結果の判明はハヤブサが1週間後、野鳥ふん便調査は1、2週間後の見通し。しかし、発生が止まらない県内の局面は、より踏み込んだ野鳥の実態把握を求めている。

死骸発見時早期通報を

 県は高病原性鳥インフルエンザの発生を受け、県内の6農林振興局と西臼杵支庁に窓口を設置し、野鳥の死骸を見つけた際の早期通報を呼び掛けている。

 通報基準は(1)感染リスクの高い野鳥33種が1羽以上死んでいる場合(2)それ以外の野鳥が同じ場所に10羽以上死んでいる場合(発生養鶏場から半径10キロ内は3羽以上)。

 通報先は次の通り。

 県自然環境課TEL0985(26)7291▽西臼杵支庁TEL0982(72)3178▽東臼杵農林振興局TEL0982(32)6157▽児湯農林振興局TEL0983(22)1350▽中部農林振興局TEL0985(26)7283▽西諸県農林振興局TEL0984(23)4725▽北諸県農林振興局TEL0986(23)4523▽南那珂農林振興局TEL0987(23)4317。


【写真】上からハヤブサ、マガモ、ダイサギ(奥)とコサギ=県総合博物館提供