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地頭鶏原種、感染防止へ消毒徹底 県畜試が移動制限

2011年1月31日
 都農町や川南町の養鶏場で鳥インフルエンザの鶏が見つかったことに伴う移動制限区域に、県畜産試験場川南支場(川南町)が入った。同支場は本県のブランド鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」の種鶏生産に不可欠な原種400羽を飼育。仮に感染すれば、全て殺処分される。昨年の口蹄疫では、県家畜改良事業団(高鍋町)の種雄牛50頭など多くの「県有財産」を失っているだけに、関係者は危機感を強めている。

 県畜産課によると、地頭鶏の原種は県が一元管理。同支場が原種約400羽を飼育し、みやざき地頭鶏の親鳥を生産。ひなを生産する日向、小林、日南市の3種鶏場に供給している。県はリスク分散のため、高原町の県畜産試験場本場でも原種約30羽を飼育しているが、種鶏場への供給は行っていない。

 種鶏場からひなを買い、宮崎市清武町などでみやざき地頭鶏約4500羽を飼育する石坂村地鶏牧場の中村秀和社長(59)は「県外を中心に地頭鶏の人気が上がっていただけに、原種に何かあれば経営への影響は大きい。県内のどこにでもウイルスがいるような状態なので、試験場には防疫を強化し乗り切ってほしい」と要望した。

 同支場では、11月に島根県の養鶏場で鳥インフルエンザの疑いが確認されたのを受け、担当者が鶏舎に入る際にはシャワーを浴びるなど防疫を強化。都農町の養鶏場で鳥インフルエンザの発生が疑われる鶏が見つかった27日からは午前、午後の2回、動力噴霧器による鶏舎全体の消毒作業を始めた。

 同支場では昨年、口蹄疫に感染した豚が見つかり、本県のブランド豚「宮崎ハマユウポーク」の原種が殺処分されている。同支場の担当者は「感染を出さないよう防疫を徹底するしかない」と話した。

【写真】県畜産試験場川南支場で飼育されている原種の地頭鶏の雄(奥)と雌(県提供)

■みやざき地頭鶏

 国の天然記念物で南九州に生息する鶏の品種「地頭鶏」を基に、県畜産試験場が1985(昭和60)年から交配を進めて開発した。生産者は現在、県内に45戸で昨年度のひなの生産は46万4千羽。身が甘くて軟らかく、鶏臭さがないのが特徴で、約6割が県外に出荷される。県などでつくる「みやざき地頭鶏普及促進協議会」が実施する飼育密度の徹底などの審査をクリアした養鶏場だけがひなを購入できる。