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口蹄疫教訓に迅速処分 県、自衛隊へ早期要請奏功

2011年1月30日
 高病原性鳥インフルエンザの県内4、5例目が28日相次いで確認されたが、県は29日夕方までに計9万6千羽もの殺処分をすべて終えた。2例目となった新富町の養鶏団地では強毒タイプとして国内最大規模の40万羽を殺処分したが、こちらも足かけ5日間で迅速に完了。昨年の口蹄疫では大規模農場での処分に手間取ったことが感染拡大の一因とされており、今回は早い段階で自衛隊に派遣要請を行うなど教訓を反映した先手の対策が取られている。

 1カ所で40万羽の処分は2005年、茨城県での77万羽(弱毒タイプ)に次ぐ多さ。2例目について県は当初、28日に処分を終える作業計画を検討。しかし、鹿野道彦農相は27日の終了を求めた。

 自衛隊員150人(全体450人)の参加が始まった25日の処分数は9万8千羽。26日には170人(同520人)に増員して15万4千羽、27日には320人(同700人)で12万1千羽を処分。困難に思われた目標を達成した。

 県畜産課は「体力があり、作業に慣れるスピードも県職員らより早い」と自衛隊のマンパワーに感嘆する。

 口蹄疫とは異なる事情もスピード処分を助けた。牛や大型の豚は薬剤注射(豚の一部は電気ショックや二酸化炭素で実施)で行うため多数の獣医師の手が必要。家畜を捕まえておく作業員も要した。農場ごとに異なる畜舎の構造も作業を複雑化させた。

 鶏は獣医師の監督の下、捕獲して大きな容器に入れ、二酸化炭素を注入して処分する繰り返し。「県職員でも日増しに作業が早くなっていった」(同課)という。

 国の防疫指針で鳥インフルエンザは殺処分終了後の鶏舎消毒から21日経過しないと移動制限は解除できない。殺処分の遅れは感染拡大や経済的打撃に直結する。4、5例目の殺処分終了後、河野知事は「地元市町や自衛隊が心を一つに、そして口蹄疫を教訓に処理していただいた」と感謝した。再発へ予断は許さないが、迅速な殺処分は早期終息へ向けた光明といえる。

【写真】川南町の養鶏場に到着し、作業に向かう自衛隊員=29日午前