拡散防止へ関係者一体 都農鳥フル疑い
2011年1月28日

感染が疑われる鶏を出荷した養鶏場は細い山道沿いにあり、通じる道路には一面に消石灰がまかれていた。夜になると、通行規制の看板を設置する職員や消毒薬を運ぶ車などが出入りし、殺処分への準備が慌ただしく進められた。
一報を受け、都農町役場では対策会議が開かれ、緊迫した雰囲気の中で対策を協議した。出席したJA尾鈴の松浦寿勝畜産部長は「管内には宮崎地頭鶏の原種鶏や生産農場があり、心配だ。口蹄疫の二の舞だけは避けなければいけない」と力を込めた。
同町では県内での相次ぐ発生を受け、野鳥が集まる池の周辺に消石灰を散布するなど厳戒態勢を取ってきた。河野正和町長は「ショックは大きい」としながら「自主防衛を強化するしかない。県の消毒ポイントが不足していれば積極的に設ける。農家、町民とも防疫意識を最高レベルに引き上げてほしい」と訴える。
「びっくりした。野鳥はどこにでもいるので、ある程度覚悟はしていたが」。都農町養鶏振興会(43戸)の河野実元(みよし)会長(58)は衝撃に言葉を失った。「農場から感染が広がらないか、風評被害が出ないか心配」と不安を募らせる。
感染疑いの鶏が見つかった養鶏場近くでブロイラー3万3千羽を飼育する塩月文裕さん(61)は、防疫措置を徹底してきたが「防ぎようがないのでは」と絶望的な気持ちにもなる。しかし、鶏舎には入荷8日目のひながいる。「あきらめたらひよこがかわいそう。屋根から壁から消毒を徹底したい」
同町と同様に口蹄疫で大きな被害を受けた川南町も、全域が移動制限区域となった。町内で繁殖和牛とブロイラーを複合経営する男性(55)は「やっと牛が入って元気になったと思っていたが…。ダブルパンチだ。とにかく一生懸命やるしかない」と自らを奮い立たせていた。
【写真】感染疑いの発生を受けて、埋却地の候補地などを協議する都農町職員ら=27日午後、同町役場